【ヤリスvsノートvsフィット】人気のコンパクトの選び方 3つの視点で比較

公開 : 2021.04.18 05:45  更新 : 2021.10.13 12:04

「ドライバビリティ」三者三様

ドライバビリティや動的性能は三者三様だ。

ハンドリングで個性を高めているのがヤリス。

日産ノート
日産ノート    神村 聖

とにかくシャープでキビキビとしたハンドリングが象徴的で、峠道で曲がるのが楽しくなってくる。

「走りに特筆すべきものはない」というヴィッツ時代とはうって変わって、操縦性自慢のクルマ作りとしてきたのだ。これも欧州で高い評価を得ている理由だろう。

もう1つ、ヤリスの凄さは燃費である。ガソリン車でも20km/L台を狙え、ハイブリッド車なら30km/Lも現実的な数字。とにかく燃費がいいのだ。これはライバルをリードしている。

パワートレインの気持ちよさではノートが素晴らしい。

新型になってノートはガソリン車(エンジンだけを動力として走る仕様)をやめてモーターを組み合わせたハイブリッドのみにするという勝負に出た。

日産が「eパワー」と呼ぶハイブリッドシステムは、発電専用としたエンジンで起こした電気を使ってモーターをまわすタイプ。いわゆるシリーズハイブリッドだ。

日産が素晴らしいのは、このハイブリッドの味付けである。リニアで伸びやかなのはモーター駆動車に共通する特徴ではあるのだが、eパワーは伸び感がひときわ明確で、それがアクセルを踏む爽快感や心地よさに直結している。

パワートレインの気持ちよさでは、文句なしにノートがライバルをリード。これだけで選びたくなってくる。

フィットにはハイブリッドとガソリンがあるが、前者は低~中速域ではノートと同じようにエンジンで起こした電気でモーターを回す仕掛け。高速域になるとエンジンを直結してタイヤを駆動する。それがもっとも効率に優れるからだ。

ただし、残念ながら、ノートほどの爽快感はない。決して乗り味が悪いわけではないのだが、ノートと比べてしまうと気持ちよさとインパクトに弱い。

一方、ガソリンエンジンは、ライバルにはない特徴がある。

それは4気筒エンジンであること。ヤリスのガソリン車は3気筒で、それは燃費に優れるものの音や振動などフィーリング面では4気筒にはかなわない。

そう考えると、ハイブリッドではなくガソリン車を選ぶのであればフィットは魅力的だ。

また、フィットは乗り心地が良く、座り心地のいいシートと相まって長時間ドライブでの快適性が高い。

結論として、ハンドリングと燃費ならヤリス。加速の爽快感ではノート。ガソリンエンジンに質感を求めるならフィット。そして快適性でもフィットがリードしている。

ただ、運転好きにとっては、ヤリスは魅力的かもしれない。なぜならMTを用意しているから。

ノートやフィットにはMTの設定がなく、MTを選べるのはこの3台の中ではヤリスのみだからだ(このクラスとして考えるとスズキスイフトマツダ2、日産マーチニスモSなどにMTがある)。

記事に関わった人々

  • 工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。

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