【乗用車へも影響大】トヨタ/日野/いすゞの事業連携 クルマの未来どう変わる?
公開 : 2021.04.15 05:45
乗用FCVの普及も一気に進む?
まず、電動化については「乗用車の新車100%を2035年までに実現」という大きな節目がある。
この2035年は、2020年末に国が示したグリーン成長戦略がベースにある。
いまのところ、「2035年までに」の対象車は乗用車という解釈だが、米カリフォルニア州の電動化施策の例などをみると、日本の商用車(物流トラック)についても乗用車とほぼ同じ時期か、若干遅れる程度で100%電動化が事実上、義務化されると予想される。
そのうえで、キモとなるのがFCV(燃料電池車)である。
今回の3社会見でも強調されたように、小型の物流トラックでは、福島で実用化が始まった再生可能エネルギーを活用する水素製造を、全国の中規模都市で横展開する計画が明らかになっている。
トヨタ・ミライに代表されるFCVの普及がなかなか進まない最大の理由は、水素ステーションの少なさにある。
国は2015年を「水素社会元年」として、これまで水素ステーション数の増加を目指してきたが、FCV普及の将来像がなかなかみえてこない中、インフラ事業者としては水素ステーションに対する積極的な投資をためらうことが多かった。
こうした状況が、3社連携によって大きく変わる可能性が出てきた。小型FCトラックと、乗用FCVの普及が同時に進行しそうだ。
トヨタ、ホンダ/日産との連携も?
次に、コネクティビティに関するプラットフォームの共同開発も大いに気になる。
小型トラックなど物流車両に限らず、自動車産業でいま最も重要視されいるのが、クルマから得られるさまざまなデータの収集、解析、そして活用である。
トヨタでは2017年から車載通信機のDCM(データ・コミュニケーション・モジュール)を活用している。DCM方式は、トヨタと資本関係や技術連携関係がある、ダイハツ、マツダ、スバルなども連動する流れとなっている。
また、トヨタとNTTの連携に見られるような、DCM方式でのプラットフォームより、さらに階層が深いところでの社会インフラとしてのデータプラットフォームがある。
この分野は、菅政権がグリーン化とともに推進しているデジタル化として、自動車業界全体での協調が必須となることは明らかだ。
今回、いすゞの片山正則社長が、ライバルである日野との連携を決断した背景として「お客さまの利便性第一」を挙げたが、こうした視点が乗用車での今後、あらためて重要視されるだろう。
となれば、トヨタとホンダ、トヨタとルノー/日産/三菱との連携の実現可能性も十分考えられ、結果的にユーザーのメリットが上がることになるだろう。
CASEを軸足に生まれるさまざまなメーカー間の連携の行方を、これからも注視していきたい。