【内容はまだ期待値以上】キア・スティンガーGT-Sへ試乗 366psのFR エンジンとシャシーの調和

公開 : 2021.04.14 08:25

英国編集部では評価の高いキア製の高速サルーン、スティンガーGT-S。マイナーチェンジでリフレッシュされた最新版を、英国の一般道で試乗しました。

動的特性を磨いたのはもとBMWの技術者

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ここ数年の期待以上のニューモデルは? と聞かれたら、きっと何台かが思い浮かぶだろう。アルピーヌA110はその筆頭。トヨタGRヤリスもすぐに連想される。英国ならアリエル・アトム4も出てくるはず。どれもが輝かしい。

この3台に続く候補は、すぐには出て来ないかもしれない。でも筆者は少し考えて、キア・スティンガーGT-Sを挙げる。英国に上陸したのは2017年。キアとしては英国初の後輪駆動モデルだったが、それ以上の内容を備えていた。

キア・スティンガーGT-S(英国仕様)
キア・スティンガーGT-S(英国仕様)

ボディは、BMW 4シリーズ・グランクーペやアウディS5 スポーツバックのような、4ドア・ファストバック。サイズは若干大振りながら、GT-Sには最高出力370psを発揮する3.3LのV6ツインターボ・エンジンが載っていた。

0-100km/h加速は5秒以下で、最高速度は268km/h。機械式のリミテッドスリップ・デフが標準装備だ。動的特性は、BMWのMモデル開発で30年間もエンジニアを務めた、アルバート・ビアマンが磨き込んだ。

当時の英国価格は4万1000ポンドから。プレミアムブランドにこだわらない賢明なドライバーにとっては、桁外れのコストパフォーマンスだったといっていい。同時にキアとしては初の、カリスマ性を備えたモデルでもあった。

確かに過去4年間の販売台数は、多くはない。しかし、オールドスクールな味わいを持つスティンガーGT-Sの輝きを保つため、キアはリフレッシュを決定。今後数年の余命を与えることにした。

366psの3.3L V6ツインターボに1855kg

マイナーチェンジでは、2.0Lガソリンターボか2.2Lディーゼルターボを載せた、穏やかなGTラインがラインナップから外されている。左ハンドル市場では四輪駆動も選べるが、右ハンドルの英国では後輪駆動のみとなった。

見た目の変更は小さい。一番見分けやすいのは、左右でつながったテールライトだろう。4本出しのマフラーカッターの直径は大きくなり、ディフューザーも新しくなっている。

キア・スティンガーGT-S(英国仕様)
キア・スティンガーGT-S(英国仕様)

LEDヘッドライトの造形にも手が入った。19インチのホイールデザインは新しくなり、ブレンボ社製の赤いブレーキキャリパーが標準装備される。

ちなみに、フロントバンパーのエアインテークは実際に機能しているが、ボンネット左右のグリルはダミー。ボディを彩るクロームモールは、一風変わった銅色だ。

3.3LのV6ツインターボ・エンジンは、環境規制に対応するためマイナーチェンジ前に4psほどパワーダウンし366ps。車重は1855kgある。比較すると、BMW M5コンペティションより10kgだけ軽い。

アダプティブダンパーは、全面的にしなやかさを高めてある。アンダーステアもわずかに改善させたと、キアは説明する。サスペンションのリンクや取り付け角などを見直し、ダンパーの応答速度を改善させたのかもしれない。

従来までコンチネンタル・スポーツコンタクト5だったタイヤを、ミシュラン・パイロットスポーツ4Sへ切り替えたことも、大きな要因だろう。電動パワーステアリングも微妙に変更を受け、スポーツモード時のアシスト量が増加している。

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