【詳細データテスト】フォルクスワーゲンID.3 広いが質感不足の室内 過不足ない走り 総じて満足
公開 : 2021.04.11 20:25 更新 : 2021.05.01 16:07
結論 ★★★★★★★★☆☆
フォルクスワーゲンは、IDブランド初の重要なEVにおいて、本当に完璧な、客観的にみても称賛に値する仕事をした。非常に過小評価されやすいだろうが、じつによくできている。少し前にテストしたマツダMX-30のEV仕様と比べれば、それはよくわかるはずだ。
もっと航続距離の短い電動コンパクトカーと同じような価格で、もっと使い勝手のいい真っ当な4座を備え、パフォーマンスと自律運転機能でも勝っている。
後席は大人が乗るにも十分な広さがある。しかも、まともな走行環境なら、一充電で320km以上走ることができる。
広い意味での量販ハッチバックとしては、それほど際立った進歩とは思えないかもしれない。しかし、ちょうどいいサイズでまともな実用性のある電動車を乗り換え候補にしているならば、そうした要素はID.3を、3万ポンド(約420万円)前後の候補の中で検討に値するものにするだろう。
やや不満を覚えるキャビンの質感や、必要十分だが退屈な走りは、高い価格帯になると成功への障壁となりそうだ。それでも、不自然なほどなめらかでやや味気ない運動性のテイストを別にすれば、このフォルクスワーゲンは、電動化が進む未来への適切な足掛かりとなるに違いない。
担当テスターのアドバイス
サイモン・デイヴィス
ルート案内がはじまれば、ナビゲーションシステムはうまく機能してくれるのだが、目的地設定に音声入力を使うのはやめたほうがいい。地名でも郵便番号でも、しょっちゅう聞き間違いをするのだ。オックスフォードに行くだけでもひと苦労だった。
マット・ソーンダース
ハンドリング関連の電子制御はじつに高度だが、設定は変更がきかない。ESCは切り替えもオフにすることもできないのだ。もしそれが可能だったとしても、もっと走りを楽しめるようになるかといえば、それは疑わしいところだが。
オプション追加のアドバイス
標準装備の内容を考える限り、エントリーグレードでも満足できそうだ。そこでおすすめは、中間サイズのバッテリーと高出力版モーターを積むID.3プロ・パフォーマンスのライフ仕様となる。ただし、ホイールはそれなりのアルミに換えたいところだ。
改善してほしいポイント
・エントリーグレードのインテリアでも、もっとマテリアルにリッチさと彩りを。
・標準モデルの退屈な走りを、どうにかもっと楽しめるものにしてほしい。
・タッチ式ディスプレイを用いたシステムの使い勝手は、改善の余地がある。もう少し実体スイッチがあってもいいのではないだろうか。