【詳細データテスト】フォルクスワーゲンID.3 広いが質感不足の室内 過不足ない走り 総じて満足

公開 : 2021.04.11 20:25  更新 : 2021.05.01 16:07

購入と維持 ★★★★★★★★☆☆

EVの実用的な航続距離にブレイクスルーを期待しているユーザーは、おそらくID.3に飛びつくことはないだろう。それでも、既存のEVからは、なかなかの進歩をみせている。

テスト車は中級機種の58kWhバッテリーを積み、ツーリング時の電力消費率は5.5km/kWhだった。英国で一般的な97~113km/hでのクルージングなら、一充電での航続距離は320kmをちょっと下回るくらいになる計算だ。

プジョーやキアの競合モデルのほうが価格は上だが、残価率はID.3のほうが勝ると予測される。表からは、なかなかに印象的なデータが読み取れる。
プジョーキアの競合モデルのほうが価格は上だが、残価率はID.3のほうが勝ると予測される。表からは、なかなかに印象的なデータが読み取れる。

もし、重量のかさむ77kWh仕様の電費が10%落ち程度に収まれば、英国の高速道路の制限速度である113km/hほどで走った場合は400km弱、もう少しペースを落として巡航すれば480km近く走れるだろう。今回のテストが、バッテリーに厳しい寒さの中で行われたことを考慮すれば、悪くない結果だといえる。

多くの自動車メーカーは、グレード展開を絞る傾向にあるが、フォルクスワーゲン の考え方は違うらしい。ID.3のエントリーモデルは3万1670ポンド(約443万円)のライフで、ビジネス、ファミリー、テック、マックスとグレードアップしていき、最上位グレードのツアーは4万2290ポンド(約592万円)。しかも、230V充電ケーブルは219ポンド(約3万円)の別売りだ。

誤解のないようにいっておくと、標準装備の内容は、どの仕様を選んでも充実している。さらに、車両価格が3万5000ポンド(約490万円)未満なら、2500ポンド(約35万円)のEV購入補助を受けられる。

フォルクスワーゲンが、ID.3のバリエーションをできるだけ広げようとしたのは明らかだ。これにより、3万ポンド(約420万円)を切る日産リーフの購入を検討している倹約家から、テスラモデル3のルックスが気に入って、そのエントリーグレードを買おうとしているようなユーザーまでの間なら、あらゆる潜在顧客に対応することが可能になるのだ。

ただし、ボトムエンドのグレード同士を比較すれば、ID.3のほうがお得感は強い。LEDヘッドライトや、ヒーター内蔵のシートとステアリングホイール、アダプティブクルーズコントロール、10.0インチ画面のインフォテインメントシステムがすべて込みなのだから。

全グレードとも、CCS規格の100kW急速充電が利用でき、最大容量のバッテリーである77kWh仕様を搭載するモデルは125kWまで対応可能だ。チャージは、実用面で納得できるくらい早い。また、自宅での充電用には、7.2kWのIDチャージャー・プロか、英国の充電インフラをリードするポッドポイントのチャージャーの同等品が用意されている。

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