【最大の競合はポールスター2】ボルボXC40 P8リチャージへ試乗 407psの純EV
公開 : 2021.04.17 08:25 更新 : 2021.05.14 07:41
電動化技術の採用を進めるボルボから、初の純EVがリリース。ポールスター2と同じ407psで四輪駆動のクロスオーバーから、攻勢の準備を整えます。
ポールスター2と多くを共有
ボルボ初の純EVクロスオーバーとなる、XC40 P8リチャージ。興味深いことに、最大のライバルモデルは同じジーリーホールディング傘下にあるポールスターから提供されているようだ。
ボルボXC40 P8リチャージは、ポールスター2と内容がかなり近い。2台のスペックを見比べてみると、実際に同じ数字が並んでいる。
基本骨格はともにCMAアーキテクチャで、バッテリーの容量はどちらも75kWh。前後に1基ずつ搭載される電気モーターも共有しており、システム総合での最高出力407ps、最大トルク67.2kg-mも同値となる。
一方で航続距離は異なる。ポールスター2は469kmを走れるとうたわれるが、ボルボは413kmに留まる。また、ポールスター2の0-100km/h加速時間は4.7秒。ボルボXC40 P8は若干遅い4.9秒でこなす。
車重を比べると、意外にも10kg重たいのはポールスター2。恐らく、ボクシーなフォルムのボルボXC40は空気抵抗が大きいのだろう。ポールスター2の方が、全高が低くボディラインも滑らかだ。
運転してみると、不思議なことにXC40の方が重く感じられる。姿勢制御がポールスター2より少し緩いことが原因だと思う。
アクセルペダルを深く踏み込むと驚くほどの勢いで加速するが、同時にテールが沈み込み、わずかにテイクオフ・スタイルを取ることに気づく。ブレーキング時はその逆。ただし、その場合はクルマの重量配分が前方寄りなことも理由にあるはず。
硬軟のまとまりに欠ける動的特性
コーナリング中は、しっかりとした量のボディロールも発生する。路面の起伏に合わせて、弾むようにボディが揺れる場面もあるようだ。
緩やかにボディが上下動するマナーは、しなやかな乗り心地につながっているが、同時に若干落ち着きもない。強い衝撃は適度に角が丸められるものの、路面の凹凸を完全には遮れていない。
シートはサイドサポートが不足気味だが、クッションは硬め。そこに驚くほどの加速力と柔らかい足腰が組み合わされているから、XC40 P8リチャージの動的特性はまとまりに欠け、少し混乱しているような印象を受ける。
高速クルージングなら、快適にこなせそうに思える。ところが、パワフルなモーターと優れたグリップ力に、大きめのボディロールと感覚の薄く軽いステアリングが組み合わされ、走りをぼやけさせている。
ポールスター2も、さほどドライバーへの訴求力が高い純EVではない。それでも、動的特性のセンスは良いと思う。
実用性ならボルボの得意分野だと想像するかもしれないが、それほど明確な違いはない。ポールスター2にも大人4名で充分に広いと感じる車内があり、長距離旅行も快適に過ごせる。
確かにXC40の方が荷室容量は大きく、フロントのボンネット下のフランクが31L、リアシート背後に452Lの空間がある。だがポールスター2もフランクが35L、リアが405Lと、選択を考えるほどの差はない。