【品の高いビッグサルーン】ボルボS90 リチャージT8へ試乗 PHEV 焦らずに走りたい

公開 : 2021.04.18 08:25  更新 : 2021.07.27 14:50

ビッグサルーンとして説得力には優れる

郊外の道へ足を延ばしてみると、ガソリンエンジンと電気モーターの協調性がイマイチで、磨き込みが足りていない印象を受ける。操縦性のまとまりも褒めにくく、運転が楽しいとまではいえないと思う。

最新のPHEVシステムと比較すると、S90の4気筒エンジンは反応が鈍くノイズも大きい。電気モーターだけでは力不足になり、ガソリンエンジンが目覚める場合も、明確にその事実を伝えてくる。

ボルボS90 リチャージT8 Rデザイン AWD(英国仕様)
ボルボS90 リチャージT8 Rデザイン AWD(英国仕様)

トランスミッションも、パワーユニットとの一体性が高いわけではないようだ。さらに100km/h近い速度域になると、姿勢制御が緩くなる様子。フワ付いた揺れが伴い、ボディの落ち着きは低減されてしまう。

80km/hくらいまでなら路面を問わず快適。反面、100km/hを超えると波長の長いボディの動きが感取されはじめ、実際以上に速く感じられるようだ。

ボルボS90は、市街地なら快適でリラックスした運転を味わえる。シートは素晴らしく、高速道路での穏やかな長距離移動も心地良くこなせる。一方で郊外の道をハイペースで流すような場面では、その長所に陰りが出てくる。

オールドスクールなインテリアの雰囲気は秀逸で、品の高いビッグサルーンとしての説得力は高い。知的で直感的に操作できるインフォテインメント・システムは、日常的なドライブとの相性にも優れる。

システム総合で400ps近いパワーを備えるPHEVだとしても、急いで走ることには向いていない。ボルボらしい性格だとはいえるだろう。

ボルボS90 リチャージT8 Rデザイン AWD(英国仕様)のスペック

英国価格:5万6440ポンド(846万円)
全長:4963mm
全幅:1879mm
全高:1443mm
最高速度:180km/h(リミッター)
0-100km/h加速:5.1秒
燃費:37.0-52.6km/L
CO2排出量:44-61g/km
車両重量:−
パワートレイン:直列4気筒1969ccターボチャージャー+スーパーチャージャー+AC同期モーター
使用燃料:ガソリン
バッテリー:11.6kWh
最高出力:303ps(ガソリンエンジン)/88ps(電気モーター)
最大トルク:−
ギアボックス:8速オートマティック

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