【電気自動車のVクラス】メルセデス・ベンツEQVへ試乗 航続距離342km 完璧に近い
公開 : 2021.04.24 08:25 更新 : 2023.09.21 08:30
電気の力で走るVクラス、EQV。車内空間や荷室容量に影響を与えることなく、320km以上の航続距離を実現しています。英国編集部が評価しました。
アップデートを受けたVクラスの最新版
メルセデス・ベンツVクラスの電気自動車版が、EQV。バッテリーで走る純EVとして完璧な姿に近いと、今回の試乗では実感させられた。
もともとVクラスのボディサイズは大きい。全高も高いため、巨大なバッテリーはなんの問題もなくフロア下へ並べられている。
ワンボックスカーのVクラスは、欧州では都市部のホテルから空港へ定期的に運行するような、シャトルバス的な利用シーンが想定される。そんなクルマの場合、航続距離は必要以上に長い必要はない。走行するルートも、一定であることが多い。
様々な収容力を想定し、大人6名とその荷物にも対応できるように設計されている。あるいは、お迎えに行く時はドライバー1人かもしれない。
EQVのエアサスペンションはバッテリーの重量を受け止め、変化する乗員や荷物にも順応できる。専任のドライバーやスタッフなら、定期的なバッテリー充電を面倒がることもないだろう。
基本的に、このEQVは最近アップデートを受けたVクラスの最新版といえる。2列目と3列目のシートをあわせて、大人5名か6名が快適に移動できるスマートな車内空間が与えられている。
滑らかで静か 航続距離は342km
ボディ両サイドには電動のスライドドアが付き、インテリアはコンサバティブながら豪華な雰囲気を醸し出す、ブラックのレザーで仕立てられている。英国でのEQVの価格は、約7万ポンド(1050万円)からだ。
今回の試乗車、スポーツ・プレミアムの場合、英国価格は7万7145ポンド(1157万円)とバーゲンプライスとは呼べないだろう。購入費用を抑えたいなら、英国では5万ポンド(750万円)前後から用意される、内燃エンジン版のVクラスを選ぶといい。
運転し始めると、すぐにVクラスが純EVに適していると理解できる。多くの高級EVと比べると出だしは若干鈍いものの、大差なく大きなボディが滑り出すように加速していく。
アクセルペダルを踏み込んでも、非常に滑らかで静か。舗装の傷んだ道に出くわしても、何事もなかったように平然と通過してくれる。大きなリチウムイオン・バッテリーがフロア一面に敷かれている構造は防音性でも有利で、ロードノイズは小さい。
ステアリングの操舵感はバスのようなものかと思いきや、重み付けはちょうど良く、反応はとても正確。ボディの全長はピックアップ・トラックのフォード・レンジャーや三菱L200(トライトン)とほぼ同じ。小回りも、悲劇的なほど効かないわけではない。
実際、フォード・レンジャーをファミリーカーとして乗っている人も英国では少なくない。