【詳細データテスト】スズキ・アクロス 高効率の電費 優れた燃費 実用重視ながら高いシャシー性能

公開 : 2021.04.17 20:25  更新 : 2021.05.10 05:10

走り ★★★★★★★★★☆

アクロスは、兄弟車のRAV4 PHEVもそうだが、電力での航続距離に関していうと、プラグインハイブリッドとしてはレアケースだ。18.1kWhのバッテリーをフルチャージすると、WLTCモードで75km走行が可能だという。

A級道路や高速道路、ストップ&ゴーを繰り返す市街地などを含めた今回のテストコースでは、エンジンが始動するまでに77kmを走り切った。公称値の40%にも届かないPHEVがあることを考えると、EV航続距離はこのクルマの強力なセールスポイントになりうる。

エンジンとモーターの連携はすばらしく効果的で、0-97km/hで6.4秒というみごとなタイムを出しながら、現実的な走行状況で77kmのEV走行も実現してみせる。
エンジンとモーターの連携はすばらしく効果的で、0-97km/hで6.4秒というみごとなタイムを出しながら、現実的な走行状況で77kmのEV走行も実現してみせる。    OLGUN KORDAL

EVモードで走ると、十分以上の速さをみせる。スロットルレスポンスは正確そのもので、加速性能は交通の流れへ楽に乗れるものだ。おもしろいことにこのモードでは、バッテリーの電力を使い切らない限りはエンジンが介入してこない。キックダウンスイッチが入るまで踏み込んでもエンジンはかからないが、おそらくその必要を覚えることもないだろう。

ただし、突発的に強力な加速が必要となったときにはエンジンもかかってほしいというのであれば、オートEVもしくはHVの各モードを選べば、期待通りに作動してくれるはずだ。

ガソリンハイブリッドシステムが優先となるHVモードでは、よりパンチの効いたパフォーマンスをみせる。テストコースの1.6kmストレートでは、0−97km/hが6.4秒、48−113km/hが5.8秒だった。これはどうみても速いといえるタイムだ。

電気モーターがインスタントに放出するトルクにより、追い越し加速はじつに楽だと感じる。たとえ、e−CVTと内燃エンジンが回ると、それとは違う性質の影響をもたらすとしてもだ。

というのも、ペダルを踏み続けて、エンジンに火が入ると、取り立ててうれしいわけでもない、やや騒々しい音が聞こえてくるのである。

ただしこのエンジン、効率はいい。充電が切れても、16km/L台の燃費が出るのだ。

そこから一転、急ブレーキを踏むと、かなり素早く停止する。その過程では、車体の重さをしっかりと感じはするのだが。

路面の湿ったテストコースで、113km/hから停止までは51.2mを要したが、これはドライ路面でテストしたBMW X3の2.0Lディーゼルモデルより3mも短い。

摩擦ブレーキと回生ブレーキの連携は、多少なりともより直感的にできる余地がある。また、ブレーキペダルはもう少し一貫性を高められただろう。

それでも、アクロスは全体的にみれば運転しやすく、地味に満足できる。セッティングを変えたり、あれこれいじったりカスタマイズしたりして好みに合わせるような必要のないクルマだ。

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