【詳細データテスト】スズキ・アクロス 高効率の電費 優れた燃費 実用重視ながら高いシャシー性能

公開 : 2021.04.17 20:25  更新 : 2021.05.10 05:10

操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆

アクロスを軽く走らせてみると、快い実直さとシンプルさを見出せる。背が高いクロスオーバーモデルの多くとは異なり、ミラクルな運動性を発揮したり、そのサイズや重さ、またSUV的なところを感じさせないようなクルマではない。

むしろ、その大きさや四駆らしいフォルムが、快適性や安心感をもたらす。これに近いものを挙げるなら、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツだろうか。

背の高さや重さを感じさせないような運動性を目指すクロスオーバーSUVも少なくないが、アクロスはそうした無理をしない素直なクルマだ。尖ったところはないが、バランスがよく運転しやすい。
背の高さや重さを感じさせないような運動性を目指すクロスオーバーSUVも少なくないが、アクロスはそうした無理をしない素直なクルマだ。尖ったところはないが、バランスがよく運転しやすい。    OLGUN KORDAL

ロックトウロック2.6回転のステアリングは、英国生まれのライバルよりスローだが、レスポンスの正確さや、心地よくなめらかなほどよい手応えの一貫性で劣るものではない。

かなりボッテリしたステアリングで、路面のフィールを十分に伝えてはくれない。しかし、コーナーへ入ると、舵角に応じて抵抗感が高まり、ロールはするがコントロールが効いている。

シャシーが十分なスタビリティを保ち、十分なメカニカルグリップを何不自由なく生み出しそうなことはわかり、通したい走行ラインをキープできる。

もちろん、これは重いクルマだと感じられる。ボディのロールはそれを示しており、うねりの強い直線を飛ばしていると上下動も発生しがちだ。コーナリングに入れば、前輪が重量を支え、アンダーステアに対して抵抗する能力にも限界がある。

しかし、喜ばしいことに、そのリミットはかなり高く、思い切りハードに走らせないとそのレベルには達しない。そして、シンプルさと実用本位ぶりが最優先されたこのクルマのキャラクターを踏まえると、ドライバーが日常的に限界域を試そうという気になるとは思えない。その問題をあえて槍玉にあげる必要はないだろう。

サスペンションのトラベルは、まず不足を感じることのないもので、コーナリング中のインパクトはほぼ余さずに吸収してくれる。ただし、いつでもバンプをまったく感じさせないというわけではない。

というわけで、ドライバーを夢中にさせるような走りや、超繊細なアジャスト性でほかに勝るものではない。しかし、ドライバーの入力に対するレスポンスは、期待通り正確で、操縦系はオイルのようになめらかで直感的に仕立てられている。

運転してみると、これは好ましいバランスに仕上がっているクルマだ。日々付き合っていくのは、非常にイージーだといえる。

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