【カスタム優勢】ホンダNボックス グレード別販売比率に変化 なぜ?
公開 : 2021.04.28 05:45 更新 : 2021.10.20 17:32
相変わらず爆売れのホンダNボックス。グレード別販売比率はカスタムが優勢に転じました。その理由を考察します。
軽新車の約7台に1台がNボックス
ホンダNボックスが、2020年度(4~3月)軽四輪車の新車販売台数において6年連続の首位になった。
その台数は19万7900台。2020年度の軽乗用車新車販売台数の総合計は136万2887台で、このうちの約15%、すなわち新車販売の7台弱のうち1台がNボックスだったという記録となる。
また、同年度の登録車、乗用車の新車販売台数合計は249万5463台で、これに軽乗用車の新車販売台数を加えた総合計は、385万8350台。その合計台数の約5%、すなわち新車販売の20台中1台がNボックスとなった。
ちなみに、2020年度の登録車、軽を含めた乗用車の販売台数トップは、トヨタ・ヤリスの20万2652台。
ただし、この数字には派生モデルでSUVのヤリス・クロスが含まれる数字であり、2020年1~12月期の販売台数では、Nボックスが19万5984台、ヤリスが15万1766台と、Nボックスが首位となる。
グレード別販売比率が変化?
ホンダ広報に、Nボックスの最新のグレード別販売状況を尋ねたところ、標準モデルが42%、カスタムが58%となった(2020年1~2月)とのこと。
それまでの販売比率は、カスタムより標準モデルが高かったが、逆転した結果となった。
こうなった背景、理由についてホンダ広報は「昨年12月のマイナーチェンジで、従来モデルよりも高級感、存在感を追求したデザインに変更しており、これが好評につながった」と語った。
2020年のマイナーチェンジでは、全車に安全運転支援システム「ホンダ・センシング」が標準装備され、エクステリアデザインに変更が加えられた。
Nボックス・カスタムでは、フロントマスクに比較的大きなデザイン変更が施され、グリルが薄くなり、バンパー両サイドにコの字型のクローム加飾が追加された。
また、ナンバープレートの位置が車両の中心部へ移動した。車幅の狭い軽自動車ではラジエーター位置と冷却効果の関係から、ナンバープレートが左右どちらかにずらされるのが通常だが、Nボックス・カスタムでは、それをセンターに位置させて軽っぽさが薄れ、登録車のような雰囲気を演出する効果をもたらしている。
残クレもカスタムを押し上げた理由?
このデザイン変更だけが、標準モデルよりカスタムの方が売れるようになった理由ではなかろう。
グレード別販売構成では、最も売れているのが「カスタムL(ノンターボ)」で構成比48%と約半数を占め、続いて標準モデル「L(ノンターボ)」の29%となっている。
「L」は前席がベンチシートタイプの上級グレードで、標準モデルとカスタムの装備の差はとくになく、内外装デザインが異なる。
新車車両価格は、標準モデルLが155万9800円、カスタムLが176万9900円となり、その差は約21万円と、車両価格の1割以上の開きがある。
デザインの違いだけで、標準モデルLの約156万円に対して約21万円をプラスして買うのは、いささか躊躇してしまうだろう。
昔に比べて軽自動車の価格が高くなったとはいえ、登録車よりも購入予算がシビアになりがちである。
カスタムの高級感あるデザインに対して、約21万円の差が気にならない人や、そもそもカスタムのデザインが気に入って指名買いする人も少なくないとも予想されるが、この価値観の差が理由というよりも、残価設定型クレジット(残クレ)の利用者の増加もカスタム人気上昇の背景にあるとも考えられる。
ホンダの公式サイトにある残クレのシミュレーションで試算してみると、標準モデルLで約2万円の月々の支払額に対して、カスタムLでは約2万3000円(いずれもオプションなし、頭金約10万円で試算)と、3000円ほどの違いとなった。
月々3000円のプラスならカスタムを選ぶ、というのは納得がいくだろう。
ディーラーでは、営業マンが残クレ支払額の差を好材料に、カスタムを勧めるといったシーンもありそうだ。
参考として、Nワゴンの販売構成比率を伺ったところ、標準モデルが66%、カスタムが34%であった。
Nボックスが後席スライドドアとなるスーパーハイトワゴンに対して、Nワゴンは後席ヒンジドアのトールワゴンとなるボディタイプの違いがあり、価格差は標準モデル「L(ノンターボ)」約136万円、「カスタムL(ノンターボ)」約162万円と約25万円とNボックスより価格差が広がる。