【トヨタGR 86/スバルBRZ】先代の走りの「らしさ」比較 新型はどうなる?
公開 : 2021.04.21 05:45 更新 : 2021.10.27 21:49
86の「86らしい」走り
86のハンドリングは86。
要するに、たしかにAE86的なのだ。伝説化されたAE86のイメージと似合わないかもしれないが、当時のFRスポーツとしてシャシー性能は水準以下。
前代に当たるTE71のプラットフォームを継承し、目立った改良も加えられていない。
TE71用のスポーツキットを移植できたのはモータースポーツでは大きな長所だったが、性能的な旧態化は仕方ない。
しかし、AE86は「これぞFR! 」と思わせるに十二分なファン・トゥ・ドライブを備えていた。
前後左右への荷重移動を活かした挙動のコントロール領域の広さ。後輪を大きく滑らせてフルカウンターもそれほど難しくはなく、とくにパワードリフトを楽しむなら最高の一車だった。
86もそのとおりのハンドリングを示す。
荷重移動や駆動力によるUS(アンダーステア)/OS(オーバーステア)の変化幅が広い。
フロントミドシップの効果もあり激しくテールスライドさせても回復性に優れ、さまざまなスポーツ・ドラテクを用いやすい。
反面、効率的なコーナリングを行うための弱アンダーステアの維持が難しい。
スリップアングル増加に伴うトラクション抜けもあって、振り回すには楽しいが、タイムを出すには難しい操縦性だった。限界性能よりも操る醍醐味に振ったのが86の名に相応しく思えた。
引き締まったBRZの走り
BRZは86よりも限界性能にこだわったフットワークに仕立てられていた。
86はオリジナルのサスは操る手応え優先でツーリング用途も考慮した設定とし、さらに高レベルのスポーツ性能を求めるならカスタマイズ推奨、という考え方を基本としていた。
一方、BRZはオリジナルで本格FRスポーツとして完成された状態を求めた。
とはいってもハードコアスポーツではなく実用性も加味されているが、86よりもサスストローク/挙動ともに引き締まっていた。
US/OS特性の振れ幅は少なくなり効率的な弱アンダーを維持しやすいものの、多少の範疇。基本特性が大きく変化したわけでなく、テールスライド時のトラクション抜けも相変わらず。
しかし、深いスリップアングルからの回復性のよさなどなども同じであり、そこに微細なコントロール性の向上でスウィートスポットをつかまえやすくなった。
86/BRZともにMCなどによるハンドリングの改善は基本的にサスを引き締める方向で進化。
86ではハードコア方向に向けた車種の追加など後期になるほど86/BRZの違いは減少している。ただし、すべてのグレードがマニアックなスポーツ仕様となったわけではなく、尖ったスポーツ派から一般用途とのバランスも考えた穏健派まで選択肢が増加したと捉えるべきだろう。