【目標金額には届かず】マクラーレン ウォキング本社売却先が決定 建物は継続使用
公開 : 2021.04.21 06:25
マクラーレンの本社施設が米国の投資会社へ売却されることが決定しました。財務を立て直すための資金調達です。
20年間はリースとして継続使用
マクラーレンは、英国のウォキングにある拠点を投資会社GNL(グローバル・ネット・リース)に1億7000万ポンド(約256億円)で売却することに合意したと発表した。
マクラーレンは同施設(マクラーレン・テクノロジー・センター、プロダクション・センター、ソート・リーダーシップ・センター)の所有権を失うが、契約の一環として、今後20年間はテナントとして事業での使用を継続する。
F1チームを擁するマクラーレンは昨年9月、新型コロナウイルスの影響を受けた財務を立て直すために同施設の売却を決め、買い手を探し始めた。
自動車製造は一時的に停止し、世界の自動車販売台数は激減、2020年のF1シーズンの開幕は数か月遅れとなった。昨年5月、マクラーレンはアプライド部門、オートモーティブ部門、レーシング部門から1200人のスタッフを削減したが、これは全従業員の4分の1以上に上る。
また、バーレーン国立銀行から1億5000万ポンド(約225億円)の融資を受けたほか、クラシックカーのコレクションやウォキング施設を担保に2億7500万ポンド(約414億円)の借り入れを目指していた。
今回発表された1億7000万ポンドの取引は、不動産業者のコリアーズが仲介したが、当初の目標額であった2億ポンド(約300億円)という数字には遠く及ばない。
GNLのジェームス・ネルソンCEOは、次のコメントを発表した。
「この世界的な施設がGNLのポートフォリオの一部になることを発表できて嬉しく思います。マクラーレン・グループ本社の最先端の建物は、著名な建築家ノーマン・フォスターによって設計され、数々の賞を受賞しており、GNLのポートフォリオを構成するミッション・クリティカルなネットリース物件です」
「マクラーレン・グループの経営陣と協力してこの取引を実現できたことを大変嬉しく思います。マクラーレンとの長期的なパートナーシップと、この取引がGNLにもたらすメリットを楽しみにしています」
GNLは、ニューヨーク証券取引所に上場している不動産投資信託で、今回のようなテナントのセール・アンド・リースバック(資産を買取り、売却元へ貸し出すこと)を得意としている。
マクラーレンのウォキング拠点は2004年に建設され、2010年にはカーボン・トラスト規格の認証を取得した。自浄作用のある屋根や、周辺の湖を利用した冷房システムなど、最先端の施設として広く知られている。