【地球1周を走ったミニ】BMCミニ ジャックとジルの大冒険 アジア〜欧州 レストア 後編

公開 : 2021.05.08 17:45

博物館の閉館とともに倉庫へ

2台のミニは欧州に入りフランスも横断。ドーバー海峡に望むカレーの町に辿り着いた。

述べ13か月、9万6000kmに及んだチャリティー・チャレンジは、大々的にメディアで取り上げられた。ポリオ撲滅キャンペーンに寄せられた寄付金は、2万5000ポンドに達している。

地球1週を果たしたBMCミニの「ジャック」と「ジル」
地球1週を果たしたBMCミニの「ジャック」と「ジル」

3色に塗られたミニは、英国西部のコーンウォールに帰着。地球1周の走破を記念し、地元の自動車博物館の目玉として展示された。
  
しかし程なくして博物館の閉鎖が決まり、「ジャック」と「ジル」は倉庫へ。湿気の多い屋内は、急速に2台を劣化させてしまう。

途中でエンジンとトランスミッションは降ろされたが、リビルトは手つかず。部品は車内に放置されたまま。2本の燃料タンクやルーフラックなどの装備は残っていたが、レストアが必要だった。

クルマの存続をかけ様々な方法が模索されたが、決め手となるオーナーや手段は決まらず、2台は2014年にイーベイへ出品。2017年、安全なオーナーにたどり着く。

バレンタイン・リンゼイが説明する「英国グランプリを楽しんだ夜、11時半頃からお酒を飲みながらイーベイを見ていたんです。世界1周したミニを発見し、買わずにはいられませんでした」

「父はロールス・ロイス・シルバーゴーストでインドから旅をしたいと話していて、わたしも自動車での冒険には興味を抱いてきました。父は1968年のロンドン・シドニー・マラソンにも参加しているんです。ベントレー8リッターで」

「世界的な冒険のことは覚えていました。ミニを救わなくては、と思ったんです」

すべての部品を外し徹底的にレストア

クルマの状態は衝撃的なものだったが、冒険後はほとんど走っておらず、オリジナルの状態に近く部品も揃っていたという。「レストアはレニー・サックレイに依頼。できるだけ予算を捻出するため、節約にも務めました」
  
英国ケントにあるリンゼイのワークショップで、サックレイはボディの部品をすべて外し、サンドブラスト処理を行った。ボディパネルは残っていたが、全塗装は必至。3色のチャリティー・カラー以外、選ぶ色はない。

トランクリッドは比較的新しいモノが付いていた。そこだけはオリジナル・ペイントが残されている。

地球1週を果たしたBMCミニの「ジャック」と「ジル」
地球1週を果たしたBMCミニの「ジャック」と「ジル」

リンゼイは、冒険の歴史を調べ直した。「19際のメカニック、ティム・フェリスを2人目のドライバーにしたという逸話が好きです。インターネットで詳しく調べ、連絡先も突き止めました。彼は親切にも、何千枚もの写真を提供してくれました」

サックレイは地元の看板職人へ頼み、ボディにロゴや文字を描いてもらった。仕上がりはとても素晴らしい。メカニズムのリビルトでは、多くの発見があった。フェリスへ内容を確認し、正確性を高めている。

ロンドン出発時は998ccのエンジンだったが、アフリカで載せ替えた時にマリーナ仕様のユニットに変更されていた。特注のオイルフィルターとボディガード、トラック用の大型エアフィルターと一緒に。

「ジャック」には大きなルーフラックが載るが、これもリビルト。車内にはロールバーが付き、コルボー社製のシートが並ぶ。デモ走行用に4点ハーネスも備わる。オリジナルのシートは保管されていた。

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