【詳細データテスト】フォルクスワーゲン・ゴルフR 加速はスムース 低速の乗り心地に難 高価すぎる

公開 : 2021.04.24 20:25  更新 : 2021.05.05 07:44

操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆

ほとんどの場合、ゴルフRの乗り心地は心地よく、より軽量なゴルフGTIより重厚な乗り味だ。しかし、張りのある基礎に支えられたしなやかさは、パフォーマンスがこのレベルにあるクルマにはピッタリだと感じられる。

きわめて融通が効き、DCCのダンパーセッティングをもっともソフトなほうへ寄せれば、波の大きい足取りは非常にリラックスしたものになる。はっきりした上下動は、1970年代のフランス車を彷彿させる。

ホットハッチには珍しくフラットな乗り心地だが、先代より没個性的なところもある。本気で走るなら、後輪駆動的なバランスを生むトルクベクタリングを備えた、Rパフォーマンス仕様を選びたい。
ホットハッチには珍しくフラットな乗り心地だが、先代より没個性的なところもある。本気で走るなら、後輪駆動的なバランスを生むトルクベクタリングを備えた、Rパフォーマンス仕様を選びたい。    MAX EDLESTON

それを望まなければ、足回りのセッティングを締め上げればいい。ただし、ダンパーをどの状態にしても、セカンダリーライドのパタパタ音を立てるようなところは消せない。その要因は19インチホイールにありそうだが、強化されたサブフレームとハードなスプリングも影響しているだろう。

B級道路に向いているのはスポーツモードだろう。もしくはそこから、硬軟どちらかお好みで1〜2ノッチ動かしてもいいかもしれない。全開というほどではなく飛ばすなら、過去のゴルフRを人気モデルに押し上げたようなバランスとスタビリティを発揮してくれる。

サスペンションが路面へなめらかに反応しつつもボディをフラットに保つ能力は、まるでトップレベルのモーグル選手のようだ。このクラスでは、なかなかレアな存在だといえる。

事実、もしも批判すべきがあるとすれば、このみごとなまでの安定感が、やや個性を犠牲にしているという点だ。新型Rは、先代のように表現力豊かな走りをみせてくれることがない。

また、ステアリングは正確で、リニアに手応えが増すので自信を持って操作できるが、これもかつてみられたナチュラルなコミュニケーションがやや足りないというテスターもいた。

ただし、それらは難点といっても些細なものにすぎない。全般的にみれば、精密で、雰囲気のあるホットハッチだ。

実際、Rパフォーマンス・トルクベクタリングを備えた新型ゴルフRは、あらゆる点で先代より魅力的なクルマに仕上がっている。ただ、全開で攻めないと個性を発揮してくれないというだけのことだ。

先代モデルは、いつでもすばらしくニュートラルだ。ひとつには、フロントアクスルがターンインを忠実にこなすからであり、さらにクレバーな電動油圧式4WDが、ふたたびパワーオンするやいなや、エンジン出力を後輪へとどんどん送り込むからでもある。

Rパフォーマンス仕様のゴルフRは、その先代をベースに、ときとしてとびきりの効果も発揮してくれる。

どんなにドライビングが不器用でもアンダーステアを出さないだけでなく、外側の後輪へ駆動力配分を集中する能力により、きちんと運転すればホットハッチにはめったにない性質も引き出せる。多少ながらもパワーオーバーステアに持ち込めるのだ。

明らかに、その領域へは意図して持ち込むことが求められ、作動ぶりはいつもシームレスなほどナチュラルなわけではないが、それでも十分にナチュラル。それほどムキになって走らせていなくても、このデバイスはエキサイティングで満足感のある後輪駆動的なバランスをもたらしてくれる。

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