【こんな贅沢、あり?】マクラーレン・エルバの楽しみ方 ただのオープンカーでは語れぬ、異次元の魅力

公開 : 2021.04.23 06:45  更新 : 2022.03.18 14:45

究極のマクラーレンに乗ってみましょう。エレガンスと狂気をあわせ持つ「エルバ」は、ただのオープン・スーパーカーでは辿り着けない世界を見せてくれました。

ウインドウなしの車体に815ps

2019年11月に発表された、マクラーレン・オートモーティブのアルティメットシリーズの新たなロードスターモデルが「マクラーレン・エルバ」。

オープンコクピットの2シーターで、先進のエアロダイナミクスと革新的なテクノロジーの融合、そして機能的なデザインなど、マクラーレンの先駆的な姿勢を体現したブルース・マクラーレン設計の1960年代のスポーツカー、「M1A」をオマージュしたものだ。M1Aのカスタマーバージョンとして製作されたのが、当時の「マクラーレン・エルバ」だった。

マクラーレン・エルバ
マクラーレン・エルバ    神村 聖

マクラーレン・オートモーティブ史上最軽量のロードカーとなるエルバは、ビスポークのカーボン・ファイバー製シャシー、同じくカーボン・ファイバー・シェルのシートや、焼結加工のセラミック製ブレーキなどを採用している。

最高出力815馬力、最大トルク800Nm(81.6kg-m)という圧倒的なパフォーマンスを発揮するV8ツインターボ・エンジンは、マクラーレン・セナ、セナGTRに搭載されるものと同じエンジン・ファミリーだ。

軽量シャシーにより、0-200km/hはセナよりわずかに速い。

マクラーレン流 風の扱い方

ドライバーとクルマの比類なき一体感と究極のドライビング・プレジャーをコンセプトとしたエルバは、ルーフ、ウインドウスクリーン、およびウインドウがない!

そのため、空気の流れからドライバーを保護するため、アクティブ・エア・マネージメント・システム(AAMS)という画期的なヴァーチャルキャノピーが装備される。

マクラーレン・エルバ
マクラーレン・エルバ    神村 聖

街乗りではAAMSを必要としないため、70km/h以上でシステムが自動的に作動し、ボンネットのディフレクターが最大150mm上昇する。

フロントノーズから入った空気は120°も向きを変え、ボンネットのアウトレット・ベントから、やや前方に向かって排気される。そして、前方からの空気の流れによって折り曲げられ、車体後方までカーブして仮想的なキャノピーを作るという仕組みだ。

このシステムにより、快適な室内空間を作り出す。

頭の上に手を挙げると、窓から手を出した時と同じような感覚で空気の流れが変化する場所がわかる。そして、必要がなければ手動でキャンセルすることもできる。

レーシングマシンの存在感

2021年3月、マクラーレン・エルバのデモカーが遂に日本に上陸した。ナンバープレートも付かない状態で、さっそく袖ヶ浦フォレストレースウェイで試乗の機会を得た。

流麗なラインで包まれたエクステリアはボリューム感がある。

バットレス状のトノーカバーは、前開きでパカっと開く。その中には50Lのストレージスペースが設けられ、ヘルメットを収納することもできる。
バットレス状のトノーカバーは、前開きでパカっと開く。その中には50Lのストレージスペースが設けられ、ヘルメットを収納することもできる。    神村 聖

そして、遮るものがなく一体化したインテリアは、シンプルかつ機能的だ。

マクラーレン・オートモーティブは、レーシングカー・コンストラクターとしてのノウハウをロードカーに落とし込んでいるが、エルバはまさにレーシングカーそのものといった迫力やオーラを備え、パドックに佇む姿を見ただけですでに高揚感が高まる。

とはいえ、圧倒的なパフォーマンスを備えるだけに、やや緊張感も感じながらコースインした。

記事に関わった人々

  • 執筆

    佐藤久実

    Kumi Sato

    大学在学中にレースデビューし、耐久レースをメインに活動。ニュルブルクリンク24時間レース、スパ・フランコルシャン24時間レースで入賞を果たす。モータースポーツで培ったスキルをベースにインストラクターとしても活動。東海大学工学部動力機械工学科非常勤講師、芝浦工業大学特別講師の経験あり。日本カー・オブ・ザ・イヤー、World Car Awards、日本ボート・オブ・ザ・イヤーの選考委員も務める。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事