【固有の優れた価値】マツダ3 e-スカイアクティブ-Xへ英国試乗 道へ調和する走り
公開 : 2021.05.06 08:25
道を問わず調和するように走る
圧縮着火状態になると、軽負荷時に少しザラついたエンジン音が聞こえてくる。だが、注意して気が付く程度。高回転域まで軽快に吹け上がる印象を受けないのは残念ながら、中回転域の扱いやすさに長け、4500rpm以上回す必要性はさほど感じられない。
サスペンションはやや硬め。ツギハギの多い路面ではやや質感に欠けるものの、基本的には滑らかに路面へ追従。落ち着きを失うことは滅多にない。
市街地でも高速道路でもしなやかに足が動き、乗り心地は快適。走り込まれた舗装の古い区間では、シャシー側の共鳴音が大きいようではあるけれど。
ハンドリングはタイトで機敏。目立った不満は感じられない。ステアリングフィールは常に反応がリニアで予想しやすく、重み付けも驚くほどに好印象。クルマを狙った位置へ操りやすく、直感的にコーナリングできる。
ドライバーの予想通りグリップを保ちながら、3は緩やかにロール。減衰力やアンチロールバーの仕立ても良く、ロータリー交差点でもカーブの続く郊外の道でも、調和するように走る。適度な積極性といえようか。
インテリアの雰囲気は、若干色使いがモノトーン気味に思えるが、高級感は高い。プレミアムブランドのモデルと並んでも、見劣りすることはないだろう。
インフォテインメント・システムには、ロータリー・コントローラーが残されている。手を伸ばしてタッチモニターを触れる必要がないから、便利に感じるドライバーも多いはず。システム自体は操作しやすく、グラフィックも美しい。メーター類も見やすい。
マツダ3の固有の価値
標準装備となったサンルーフは頭上空間にやや影響を与えているが、身長190cm近い筆者でも充分快適に過ごせる広さは残されている。ただしリアピラーが太く、斜め後方の視界はあまり良くはない。
全体的な実用性は、クラス平均レベル。ホンダ・シビックには匹敵しないかもしれないが、フォルクスワーゲン・ゴルフ並みとはいえるだろう。
マツダは近年、装備を充実させ質感を高め、高価格帯へシフトしている。フォードやキアではなく、フォルクスワーゲンやアウディなどが競合になろうとしている。それでも、標準装備の内容を考えれば、理に適った選択肢とはいえるだろう。
エントリーグレードから、ヘッドアップ・ディスプレイと新しいインフォテインメント・システム、幅広い運転支援システムが付いてくる。試乗グレードの場合は、ヒーター内臓のレザーシートにバックカメラ、ボーズ社製のステレオも標準だ。
さらに、マツダ3には固有の優れた価値がある。確かにスペック表で比べただけでは、目立った特長はないかもしれない。しかし実物を目にすれば、美しいスタイリングが心へ響いてくる。自ら運転すれば、さらに3の価値を実感できるに違いない。
マツダ3 e-スカイアクティブ-X GTスポーツ(英国仕様)のスペック
英国価格:2万8005ポンド(420万円)
全長:4460mm
全幅:1795mm
全高:1435mm
最高速度:215km/h
0-100km/h加速:8.1秒
燃費:18.9km/L
CO2排出量:121g/km
車両重量:1423kg
パワートレイン:直列4気筒1998cc自然吸気+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:186ps
最大トルク:24.4kg-m
ギアボックス:6速マニュアル