【いすゞ・ジェミニにも展開】ヴォグゾール・ビバ(オペル・カデット) 英国版クラシック・ガイド 後編

公開 : 2021.05.15 17:45  更新 : 2021.05.24 07:58

英国オペル、ヴォグゾールとして量産コンパクトカーの基礎を築いたビバ。後にいすゞ・ジェミニへも展開した名車を、英国編集部がご紹介します。

エンジンは堅牢だがボディは錆びやすい

text:Malcolm Mckay(マルコム・マッケイ)
photo:James Mann(ジェームズ・マン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

  
英国オペルヴォグゾールとして人気を集めたビバ。オペルからはカデットの名で売られたが、初代の1057ccのHA型と2279ccのHCとの間には、十数年の違いがあり世界観も異なる。しかし、ビバという個性的な魅力は唯一のもの。

ベースグレードでも、穏やかなドライブには好適。燃費に優れ実用性も高い。一方でOHCエンジンを搭載したGTや2300は、別次元と呼べるパフォーマンスを備えている。

ヴォグゾール・ビバHB SL(1966〜1970年/英国仕様)
ヴォグゾール・ビバHB SL(1966〜1970年/英国仕様)

どちらのエンジンも堅牢でメンテナンスはしやすい。金属的な異音や振動、不安定なアイドリング、白煙混じりの排気ガス、エンジンオイルの漏れなどはエンジンが摩耗している証拠。

これまで40年以上は取引価格が安く、現存しているビバは少数。それだけに、今あるビバの多くは部品交換などで生き残ってきた個体。エンジン交換も珍しくない。これまでの整備内容は、注意して確認した方が良いだろう。

MTで1速から2速へのシフトアップ時にガリガリと音が出る場合、シンクロメッシュの劣化を示している。ギアまわりからの異音にも注意。ATの場合はフルードが黒色になっていたり、焦げた匂いがしないか確かめたい。英国ではリビルドが可能だ。

ブレーキはドラムが初期の標準だったが、現存するビバの多くにはフロントにオプションのディスクブレーキが付いている。モデル後期では大排気量のビバで標準装備になった。リアのドラムブレーキにスレーブシリンダーを付ける改良は一般的。

英国にはオーナーズクラブが存在し、スペアパーツの入手などで有用。機械的な部品は見つけやすいが、内装部品はなかなか出てこないようだ。

具合を起こしやすいポイント

エンジン

エンジンはOHC、OHVともに堅牢。定期的なタイミングベルト交換が不可欠ながら、ピストンがバルブに干渉する心配はない。鋳鉄ブロックで、ガスケットが吹き飛ぶ心配は不要。オーバーヒートや冷却系の漏れには注意したい。

キャブレターの不具合はエンジン不調の原因。エンジン関係の多くの部品は、比較的入手しやすい。内部の摩耗状態で維持費用も変わる。リビルドには英国でも3000ポンド(45万円)近くかかる。

駆動系統

ヴォグゾール・ビバHB SL(1966〜1970年/英国仕様)
ヴォグゾール・ビバHB SL(1966〜1970年/英国仕様)

トランスミッションやブレーキ、サスペンションなどは経年劣化していることが多い。気持ちよく走るには、いい状態が欠かせない。

サスペンションとブレーキ

ブッシュ類やボールジョイント、ダンパーの状態を確かめる。ディスクブレーキは、すべての部品がリビルド品として入手可能。

ボディ

サビはどこでも発生する。主な部分としては、前後のフェンダーやピラーの付け根、サイドシル、フロアパン、荷室の床、ドアやボンネットなどのエッジ付近など。

ビバのHAでは、リアのスプリングマウントに注意。HBやHCの場合、フェンダーの内側やサブフレーム、ガラスの付け根やボンネット・ヒンジのマウント、ショックアブソーバーの取り付け部分が要注意ポイント。

HB用のヘッドライトは、部品が出てこない。

インテリア

入手可能な内装トリムなどは、基本的に中古部品のみ。希少グレードほど見つけるのも大変だ。ドアの内張りは定期的にデザインが変わっている。

ストリップと呼ばれる横長のスピードメーターは、HBやHCで一般的な装備。部品は見つけにくいから、すべて動作することを予め確かめたい。

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