【電動ラリークロス・マシン】スタード・フォード・フィエスタERXへ試乗 未来の興奮 後編

公開 : 2021.05.09 08:25  更新 : 2022.11.01 08:55

約60%も安いランニングコスト

実際はプロドライバーの10%くらいの走りなのだろうけれど、もっと激しく運転したいと思えてくる。クーパー社製のタイヤは、不気味なほどグラベルでもグリップし、ターマックの左コーナーも機敏に回る。

最後の1周、ストールはクールダウンするように指示した。筆者が体験できたのは、ごく表面的な部分だけ。ストールが自らフィエスタERXをドライブする様子も見れたが、目を剥くほどに速く、派手なドリフトは壮観だった。

スタード・フォード・フィエスタERX(ラリークロス・マシン)
スタード・フォード・フィエスタERX(ラリークロス・マシン)

同時に、スタード社が主張するように、ユーザーフレンドリーなマシンだということは間違いないだろう。筆者が今まで試乗してきた中で、ドライビングマシンとして最高の1台に加えたいと思えるほど。

内燃エンジンが載っていないという事実を忘れるくらい、アドレナリン全開だった。

スタード・フォード・フィエスタERXの英国価格は、32万ポンド(4800万円)から。既存のクルマに純EVのシステムを組む場合は、17万ポンド(2550万円)前後だという。

確かに安くはない。だが内燃エンジンのラリークロス・マシンも、それに近い金額が付いている。さらにスタード社の技術力は、極めて高い。

スタード・フォード・フィエスタERXの最大の強みは、ランニングコストの低さ。内燃エンジンのマシンより、約60%も安く済むという。

もちろん、タイヤやブレーキの交換は走れば頻繁に行なう必要がある。サスペンションのリビルドも、定期的に必要だろう。しかし、基本的に駆動用モーターとバッテリーはメンテナンスフリーなのだ。

興奮に化石燃料は必須要素ではない

スタード・フォード・フィエスタERXはFIAの認定を受け、英国のラリークロス選手権、BRX 5ネーションズのほか、5か国でのチャンピオンシップへの出場資格がある。既にエレクトリック・ラリークロス選手権にも出場経験がある。

競争力は充分証明済みで、昨年のデビュー戦ではストール自身がフィエスタERXのステアリングを握り、優勝している。ケン・ブロックと同じくらい多くの注目を集めた。

スタード・フォード・フィエスタERX(ラリークロス・マシン)
スタード・フォード・フィエスタERX(ラリークロス・マシン)

電気自動車だけによるレースは、クルマ好きを不安にさせる未来かもしれない。しかし、ストールのチームが開発したフォード・フィエスタERXを見れば、モータースポーツでの興奮に化石燃料は必須要素ではないと理解できるだろう。

外見は見事なラリークロスマシン。その内側には、スタードの生み出した驚異的な興奮が宿っている。

スタード・フォード・フィエスタERX(ラリークロス・マシン)のスペック

英国価格:32万ポンド(4800万円)
全長:−
全幅:−
全高:−
最高速度:−
航続距離:非公表
CO2排出量:−
車両重量:1450kg(予想)
パワートレイン:トリプルAC同期モーター
バッテリー:35kWhリチウムイオン
最高出力:611ps
最大トルク:101.9kg-m
ギアボックス:2速マニュアル

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