【詳細データテスト】BMW M4 文句なしのエンジン 卓越したシャシー ルックスだけが問題
公開 : 2021.05.01 20:25 更新 : 2021.05.05 07:44
内装 ★★★★★★★★☆☆
M4にオプション設定されるMカーボンバケットシートは、愉快で笑みがこぼれるものの、それでもテスター陣からは不満の声が上がった。単品で3400ポンド(約47.6万円)で、テスト車では6750ポンド(約94.5万円)のパッケージオプションに含まれていたそれは、ポジションが決まれば驚異的にすばらしいものだ。
しかし、太ももの位置をしっかり決めることを意図しただろう座面先端の盛り上がりは、見た目がバカげている。カーボンのファウルカップにみえないこともない。しかも、ロードカーでは飾り物にしかならず、むしろ邪魔になってしまいかねない。レースカーならば、ホールド性を少しでも高める工夫は重要だろうが、街乗りでは不要だろう。
また、このシートだけではなく、内装にはカーボン素材が多用されているが、その効果にも疑問を覚えずにはいられない。そう、新型M4は満タンで実測1800kgと、軽いクルマではないのだ。Mカーボンシートは標準装備のシートより2脚で9.6kg軽量化できるとはいえ、電動調整機構とヒーターが備わっているのだ。本気の軽量化アイテムとはいいがたい。
そうはいっても、それ以外の場所に関しては、最新のラグジュアリーなキャビンとしてエクセレントな出来栄えだ。その色合いとメタリックのデコレーションは、見た目も手触りも高級感があり高価そうだ。また、全体的に手応えの明らかなソリッドさが行き渡っている。同じクラスのアルファ・ロメオやメルセデスAMG、アウディと比べても、高いクルマ感は一番だ。
広さも満足できる。たしかに後席は、身体を折り曲げて乗り込まなければならないが、一度収まってしまえば、背が高い乗員でもちょっと乗るだけなら問題ないスペースがある。870mmのヘッドルームはともかく、730mmのレッグルームはフォルクスワーゲン・ゴルフすら凌ぐのだ。
結局のところ、天井の低さは気になってしまう。それでも、中肉中背の大人がそれほど長くない時間を過ごすなら、後席に2名乗っても十分に快適なはずだ。