【詳細データテスト】BMW M4 文句なしのエンジン 卓越したシャシー ルックスだけが問題
公開 : 2021.05.01 20:25 更新 : 2021.05.05 07:44
操舵/安定性 ★★★★★★★★★★
うれしいお知らせ。M4の急激な成長は、いい感じのB級道路を真のエンターテナーのように走り抜ける能力を、みじんも損ねていなかった。
M4コンペティションのシャシーは、世界でも屈指の出来栄えだ。ターンインの精確さ、コーナリング中の豊かなグリップとスタビリティはずば抜けている。また、タイヤの限界を超えたホイールスピンを起こした際にどうなるか、それを試した場合のスロットルでのアジャスト性も抜群だ。
いつもながらリムの太いステアリングホイールは、やはりちょっとばかりゴツい手触りだ。路面状況をいつでも明確に伝えてくるかといえば、ちょっと物足りない。それでもなお、フロントタイヤにかかる横方向の荷重を常に伝え、鋭く機敏なハンドリング性能への強い信頼を抱かせてくれる。
ロックトウロック2.2回転とかなりクイックなステアリングギア比は、入力に対するエネルギッシュな反応の源だ。しかし、鼻先の向きを変えるアジリティそのものは、冴えわたるコントロール性と優れたスタビリティに支えられている。
目指したポイントへ正確に鋭く舵を切り、下手な仕掛けや過剰な動きはなく、ステアリングの手応えは直感的かつ自然に増していき、フロントタイヤのグリップ状況をハッキリと教えてくれる。
アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオのほうがコーナリングはシャープかもしれない。それでも、M4には、クルマとの相互作用やフィードバック、一体感やポジティブさが、公道での高い速度域やサーキットのスピードレンジで十分すぎるほどに感じられる。
ボディ挙動のコントロールもまた、同じように精確だ。左右への荷重移動は感じ取れるが、車体そのものはシャシーの負荷が高まってもフラットさを保つ。ステアリング入力は、エネルギーの損失を最小限に横方向の荷重へと変換される。
剛結されたリアのサブフレームが、この不自然なほど引き締まったボディコントロールと安定感に寄与しているのは疑うまでもない。これにバケットシートの高いホールド性が相まって、後輪と路面との間に起こっていることを、ドライバーは腰で感じ取れるのだ。
横グリップが限界に近づいていることを、手に取るように感じ取ることができる。先代のF82型M4には、これが足りなかった。そうはいっても、新型M4がソフトで限界の低いクルマになったわけではない。反対に、クリアさでも、常に運動性のバランスや精密さが感じられるという点でも、すぐに思い浮かぶような競合モデルを上回っている。