【出だし好調】新型ホンダ・ヴェゼル高級化/上質化の背景 米SUVが影響?
公開 : 2021.04.30 05:45
米SUVのダウンサイジングの影響
直近、2020年の暦年でホンダのアメリカ国内販売実績を見ると、販売台数が最も多いのがCR-Vで33万3502台(前年比13.8%減)、次いでシビックで26万1225台(前年比20.3%減)、アコードが19万9458台(25.9%減)、そしてHR-Vが8万4027台(15.8%減)と続く。
各モデルが前年比で大きく落ち込んでいるのは当然、新型コロナウイルス感染症拡大による2020年春から夏にかけての販売店の一時休業や工場での生産調整などの影響だ。
ただし、現状幅でみると、C/Dセグメントセダンに比べてSUVでの販売ダメージは少ない。
さらに、ホンダのSUV全体で見ると、パイロットが12万3813台(8.9%減)とダメージはさらに少ないどころか、パスポートは3万9567台(8.9%増)と販売総数は少ないが販売が伸びている状況だ。
筆者(桃田健史)の見立てとしては、アメリカ市場全体としてSUVのダウンサイジングが進んでおり、とくにデトロイト3(GM/フォード/ステランティス)のSUVユーザーの一部がホンダを含めた日系メーカーのコンパクトSUVへとダウンサイジングしているのだと思う。
こうした中で、アメリカを主戦場とするホンダにとって、HR-Vの高級化と上質化が重要になってくることは明らかだ。
また、欧州、中国や東南アジアなどの経済新興国でセダンからのコンパクトSUVシフトがじわじわと広がっている印象がある。
ヴェゼルがトヨタSUVと互角に戦うには?
欧州ではグローバルで最もCAFE(企業別平均燃費)の達成目標が厳しく、そのために2021年秋過ぎに欧州で発売予定の新型HR-Vでは、日本のような1.5Lガソリンの設定はなく全車が2モーターハイブリッドシステムのe:HEVとなる。
そして日本市場だが、なにせトヨタのSUV攻勢が強烈で、ホンダとしてはヴェゼルで複数のトヨタ・モデルに相対する必要がある。
日本でのトヨタのSUVは、価格が高い順に、ランドクルーザー、ランドクルーザー・プラド、RAV4、C-HR、ヤリス・クロス、ライズというフルラインナップ。
また、これらに加えて、2021年夏にはアクアがフルモデルチェンジするが、現行車と同じくアクア・クロスオーバーのハイブリッドが出るのか?
さらに、2020年にタイでワールドプレミアしたカローラ・クロスの2021年秋ごろに日本市場導入のうわさが絶えない。
価格帯でみれば、ヴェゼルは少なくともヤリス・クロス・ハイブリッド、アクア・クロスオーバー、C-HR、カローラ・クロスという4モデルに対向しなければならない。
こうした日本を含めたグローバルでのコンパクトSUV市場の図式を俯瞰すると、ヴェゼル/HR-Vが上級かつ上質化し、さらにe:HEVとリアルタイムAWDとの連携を強調する意味合いが理解できる。
果たしてヴェゼルは日本での人気を確固たるものにできるのか、今後の動向を注視したい。