【ブランドイメージを再構築】ヒュンダイ・アイオニック5 試作車へ試乗 純EVの個性 後編
公開 : 2021.05.12 19:05 更新 : 2022.02.07 12:19
斬新なスタイリングが与えられた純EVハッチバック、アイオニック5。完成間際のプロトタイプへ、英国編集部が試乗しました。
ホットハッチに並ぶスタートダッシュ
ヒュンダイ・アイオニック5の動的性能は充分に活発。0-100km/h加速時間は5.2秒とされており、ゴルフRやメルセデスAMG A35など四輪駆動のホットハッチに並ぶスタートダッシュを決められる。
航続距離重視の後輪駆動版は、ここまでエネルギッシュではない。そのかわり、482kmの距離を一度の充電で走り切れる。
英国価格は、バッテリー容量が58kWhで後輪駆動のアイオニック5なら、4万ポンド(600万円)以下。電気モーターの最高出力は170psに設定され、0-100km/h加速は8.5秒となるという。
電圧800Vのシステムを採用し、最大350kWの超高速充電に対応。計算上は充電を初めてから5分で、約100kmぶんの電気を蓄えられることになる。
ドライビング体験は、斬新なボディデザインからイメージするほど、強い特徴があるわけではない。しかし、充分な説得力はある。軽く正確な操作系に上質なシート、優れた視認性で、安楽に運転できる特性が与えられている。
0-100km/h加速から想像するような、コーナーの頂点をすり抜けるホットハッチ的ではない。とはいえ、ファミリーカーサイズのクロスオーバーとして、当然の内容ではあるだろう。
サスペンションは長波長の揺れが若干残る印象で、量産仕様として上層部の承認が降りるまでに、もう少し引き締めても良いかもしれない。それでも、この価格帯の純EVとしては感心するほど乗り心地に長けている。
印象的なまでに居心地が良いインテリア
シンプルな2本スポークのステアリングホイールを回せば、幅の広いフロントノーズを狙った通りに操れる。狭い道でも扱いやすい。高速道路も得意分野。ホイールは20インチと大きいが、走行中は平穏で安定感もある。
このソフトな個性は、インテリアデザインにも反映している。通常触れるような場所にはリサイクル素材か持続可能性を意識した素材が用いられ、車内は快適性と利便性に焦点が向けられている。
アイオニック5のフロアは、ほぼ車内幅いっぱいに渡ってフラット。前列シート周りの空間は広々しており、スリムなシートデザインのおかげで2列目シートの空間にもゆとりがある。電動で135mmもスライドが可能だ。
フロントシートには、メルセデス・ベンツSクラスのリアシートに付いているような、ふくらはぎをサポートするカーフレストのほか、深くリクライニングできる機能もオプションで追加できるという。印象的なまでに、居心地が良い。
ダッシュボードの半分を埋めるのが、12.3インチの2面のモニター。同時に、実際に押せるスイッチ類も充分に残されている。触覚フィードバックは、あまり良くは感じられなかった。
最大トルクは61.5kg-mもあり、ドライバーが望めば周囲が驚く勢いでスピードを高められる。特にステアリングホイールのセレクターでスポーツ・モードを選べば、目をみはるほど。