【1900ps以上のEV】新型のスイス製ハイパーカー 2023年発売予定 ボディに新素材採用か
公開 : 2021.05.05 06:05 更新 : 2021.07.08 12:59
元レーシングドライバーのブノワ・モランが立ち上げた会社では、EVとハイブリッドの新型車を開発しています。
高密度のバッテリーセルを搭載
スイスのモラン・カーズ(Morand Cars)は、2023年に新型ハイパーカーを発売する予定だ。パワートレインは、ハイブリッドと完全EVから選択でき、いずれも最高速度は400km/h程度を想定している。
モノコックにはカーボンファイバーを使用し、ボディにはモランのパートナー企業であるBCompが開発したサスティナブルな亜麻ベースの複合材である「Amplitex」を使用するというユニークな構造になっている。
EV仕様では、4基の永久磁石モーターを搭載し、合計で約1977psを発揮する。また、70kWhのバッテリーを搭載することで、1400kWの出力を得ることができ、筐体、ケーブル、電子機器を含めた重量は400kgとなる。
元ロータスF1チーム監督で、マクラーレンのレース・ディレクターを務めたエリック・ブーリエとともに会社を設立した元レーシングドライバーのブノワ・モランは、次のように述べている。
「わたし達は、フォーミュラEで使用されているものよりもエネルギー密度が高い約180Wh/kgのセルを用いて、画期的な技術に取り組んでいます」
充電速度の目標は、現在のハイエンドバッテリーの5C(バッテリー容量の5倍)を超える8Cだ。これは、350kWの充電器であれば12分、560kWの充電器であれば7分で新型ハイパーカーをフル充電できることになる。また、目標とする航続距離は、F1のレース距離と同じ約300kmだ。
グリップ力を超えるトルク
ハイブリッド仕様には、最高出力700psの5.2L自然吸気V10エンジンが搭載され、55.2kg-m以上のトルクを発揮する。このエンジンと、「Xtrac」と呼ばれる7速トランスアクスルの間には、電気モーター・ジェネレーターが配置されている。
さらに、前輪を駆動する2基のモーターが備わり、合計で446ps以上、総出力は1115ps程度になる。最大トルクは、「タイヤのグリップ力を超える」と言われている。
現在開発中の新しい蓄電装置は、300kWのバッテリーとスーパーキャパシタのハイブリッドで、4.5kWh以上の容量を持ち、電気のみでの走行可能距離は50kmに達する。バッテリーと電気駆動系を含めた重量は、ハイブリッド車、EVともに1250kg以下を目指している。
ボンネット、ドア、リアカバー、ウイング、シート、インテリアには、Bcomp社のAmplitexが使用されている。Amplitexは、カーボンファイバーよりは重いものの軽量素材であり、衝突試験をクリアしている。BcompのCEOであるペル・モルテンソンは、次のように述べている。
「イタリアのエンジニアリング会社であるYcom社と協力して、フォーミュラカー用のクラッシュコーンを製作し、試験を受けて素晴らしい結果を得ています」
完全なモノコックを作ることは可能だが、最終的には性能と重量に応じてAmplitexとカーボンファイバーのどちらを選択するかが決まる。
「モノコックではカーボンファイバーよりも重くなりますが、この素材を使ってパフォーマンスとサステイナビリティを可能な限り向上させます」
ハイブリッド仕様のプロトタイプは今年末に、続いてEVは2022年にデビューする予定だ。ハイブリッド仕様の価格は230万スイスフラン(約2億7500万円)で、EVも同程度の価格になる予定だ。73台が製造される予定だが、ハイブリッド車とEVの比率はまだ決まっていない。