【FRセダンの本質】メルセデス・ベンツC 200ローレウスエディション試乗

公開 : 2021.05.10 05:45  更新 : 2021.10.11 14:50

熟成と洗練重ねた内燃機駆動の味わい

C200ローレウスエディションに搭載されるパワートレインは1.5Lターボと9速AT。

排気量はベーシック仕様のC 180系と同じだが、出力トルクともに向上し、ベルト駆動ISGを用いた48V型マイルドハイブリッドも採用。

メルセデス・ベンツC 200ローレウスエディション
メルセデス・ベンツC 200ローレウスエディション    神村 聖

電動化技術を先進性の目安とするならC 200系はCクラスで最も進んだパワートレインといえる。

パワーフィールは出来のいい内燃機車の印象。グレード名から2L級の印象を受けるかもしれないが、3L級に匹敵する最大トルクもあって急加速でもさほど回転を上げずに済ませてしまう。高性能というほどでもないが悠々にして俊足なのだ。

電動パワーアシストの使い方も巧みだ。

踏み込み直後のトルク立ち上げを誇張したり、殊更に巡航ギア維持で電動を強調するでもなく、エンジンと渾然一体となった印象。

変速制御も含めてペダルコントロールに対する滑らかな追従と繋がりのいい加速感を示す。多少ラフなアクセルコントロールでもスナッチングに類するようなトルク変動もなく、いい意味での重みと精度感を意識させる。

熟成と洗練を重ねた内燃機駆動の味わいを電動駆動補助によりさらに磨き込んでいる。

電動感が希薄ともいえるのだが、内燃機車から乗り換えたユーザーが馴染みやすく、それでいてパワーの質感向上を実感できるドライブフィールだ。

ズバリ現行Cクラスは買いか?

現行Cクラスの日本導入は2014年。

モデルライフも末期となったが、安全&運転支援機能のバージョンアップなどの改良の積み重ねもあって、スペック面でも古臭さは皆無。

メルセデス・ベンツC 200ローレウスエディション
メルセデス・ベンツC 200ローレウスエディション    神村 聖

強いて言うなら「ハイ・メルセデス」の対話式ボイスコマンドシステムで有名なMBUXが採用されていないのは気になるが、メルセデス・ミー・コネクトは標準装備。同クラス他車と比較して同等以上の先進装備も備わる。

乗ってみれば今でも同クラスあるいはプレミアム性の基準器として相応の良質な走りを示した。

スポーティとかスペシャリティといった嗜好領域でクルマ好きを刺激する要素は少ないが、それだけにプレミアムセダンの本質をしっかりと味わえる。

マイルドハイブリッドとはいえ電動化技術の導入も時代性では加点ポイントだ。

したがって実力の面では今でも第一線級なのだが、次期モデルのことを考えると手放しで勧めるのは抵抗がある。

「メルセデス・ベンツに下克上なし」で、車格アップやグレードアップすれば価格相応に質や性能が上昇する。

宗旨替えでもない限り新旧についても同じ。次期モデルも確実に現行モデルを超えてくるだろう。

Cクラス狙いなら情報収集しながら次期モデル待ちが基本だが、購入条件がよければ現行モデルを狙うのも悪くない。

スペック

価格(税込):613万円
全長×全幅×全高:4705×1810×1430mm
ホイールベース:2840mm
車両重量:1600kg
エンジン:1496cc直4ターボ
最高出力(エンジン):184ps/5800-6100rpm
最大トルク(エンジン):28.6kg-m/3000-4000rpm
トランスミッション:9速オートマティック
燃費(WLTC):12.9km/L

記事に関わった人々

  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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