【ディーゼル転換は正解】アウディA5スポーツバック40 TDIクワトロ・アドバンスド試乗

公開 : 2021.05.17 05:45  更新 : 2021.10.11 14:49

A5スポーツバックのイメージによく似合う

昨今の4WDは多板式電子制御カップリングが標準的だが、A5に採用されたクワトロ4WDシステムは前40/後60の不等比駆動力配分センターデフを用いた完全なフルタイム4WDを採用。

また、前後の駆動力は前70/後30から前15/後85の間で路面状況等に応じて可変制御されている。

アウディA5スポーツバック40 TDIクワトロ・アドバンスド
アウディA5スポーツバック40 TDIクワトロ・アドバンスド    神村 聖

ハードなスポーツ走行にも大きなアドバンテージを持ったシステムだが、一般ユーザーにとっては荒天の高速道路や滑りやすい路面での走行の安心感が大きなメリット。

春の穏やかな天気での試乗のため本領を実感できなかったが、その実力はこれまで乗ったクワトロ車の経験からA5も間違いない。

だからといって限界性能を求めて引き締めたフットワークではない。

スポーティ系のSラインに対してアドバンスドは乗り心地に振ったサスを採用する。

もっとも、あくまでも相対論で、車体サイズを意識させない操縦感覚や適度に軽快感を備えた挙動、操舵に素直で加減速やうねりに強い安定性でハイアベも安心してこなす。

突き上げの往なしやストローク使いを感じさせるサスチューンなど一般用途に於ける乗り心地も良好。

ファン・トゥ・ドライブと同乗者の心地よさが程よくバランスしている。

プレミアム感にこだわるならもう少し重質な据わりよさが欲しくなるが、A5スポーツバックのイメージによく似合った乗り味である。

クーペ狙いには外しの少ないモデル

ウェルバランス型のA4に対してA5スポーツバックはいわゆる4ドアクーペ系のモデル。

クーペを思わせるファストバック型のスタイルが大きなアピールポイントの1つ。

アウディA5スポーツバック40 TDIクワトロ・アドバンスド
アウディA5スポーツバック40 TDIクワトロ・アドバンスド    神村 聖

ならばキャビン実用性でA4のセダンやアバントと決定的な差があるかといえばそうでもない。

後席レッグスペースは同等。後席乗員を考慮したルーフラインでヘッドルームも不足なく、視覚的閉鎖感も少ない。嵩のある荷物の積載がちょっと厳しいが、荷室奥行きはアバント相応。

クーペ系といえばドライバーの自己中心的キャビンを想像してしまうが、A5スポーツバックは4ドアモデルの実用性にもこだわった設計だ。

ディーゼル4WD同グレードの価格はA4セダンの78万円高、A4アバントの49万円高。

実用面のコスパで量ればA5スポーツバックは割高な印象を受けてしまうが、同クラスの輸入4ドアスポーツ系では比較的こなれた値付けである。

その雰囲気に惹かれるかどうかがクーペ系では最も重要な点。

クルマ趣味の琴線に触れれば投資効果も高い。

しかも、同カテゴリーでは実用面のハンデが少ないので、見た目から想像した以上に実用的、ということはあっても予想以下でがっかりとなる可能性は極めて低い。

クーペ狙いのユーザーには外しの少ないモデルでもある。

スペック

価格:643万円
全長×全幅×全高:4755×1845×1390mm
ホイールベース:2825mm
車両重量:1680kg
エンジン:1968cc直4ターボ
最高出力(エンジン):190ps/3800-4200rpm
最大トルク(エンジン):40.8kg-m/1750-3000rpm
トランスミッション:7速オートマティック
燃費(WLTC):14.6km/L
駆動方式:4WD
タイヤサイズ:245/40R18

記事に関わった人々

  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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