【ドイツ車らしい作品】アウディA4アバント40 TDIクワトロSライン試乗

公開 : 2021.05.19 05:45  更新 : 2021.10.13 15:26

ディーゼルのデメリット「ノイズ」は?

試乗車は前述のとおりワゴンボディにディーゼルエンジンを積んだ40 TDIクワトロSライン。

センターコンソール上に設けられたプッシュボタンを押して4気筒2Lエンジンを始動させると、ディーゼルらしい軽い身震いとガラガラというノイズが聞こえてくる。

アウディA4アバント40 TDIクワトロSライン
アウディA4アバント40 TDIクワトロSライン    神村 聖

ただし、そこは上級モデルと同じエンジン縦置きのMLB evoプラットフォームを用いるだけあって、同じディーゼルでもエンジンを横置きするQ3に比べて振動や騒音は格段に小さい。

もちろん、「これでもダメ」という人もいるだろうが、むしろ「これだったら大丈夫」と思う人が確実に増えたであろうことは想像に難くない。

さらに走り始めて車速を上げていけば、ディーゼルのデメリットはどんどん消えていき、高速走行時はガソリンモデルとほとんど変わらない快適性を堪能できる。

そんなときにはディーゼルエンジン本来の分厚いトルクを発揮。ちょっとした上り勾配や追い越し加速ではギアボックスがキックダウンすることもなく、一定のギアのままぐいぐいと走る力強さを味わえるはずだ。

かつてのドイツ車に近い乗り心地

このエンジンのもう1つの特徴が、高回転域を得意とする点。

レッドゾーンが始まるポイントは4800rpmとガソリンより低めながら、3000rpmをこえてからも軽快にエンジン回転数を高めていく様子には軽い驚きさえ覚える。

アウディA4アバント40 TDIクワトロSライン
アウディA4アバント40 TDIクワトロSライン    神村 聖

しかも、ディーゼルには珍しく高回転域まで高トルクを維持する特性のようで、回転数を上げれば上げるほど力強さが高まっていくのだ。

そしてこのエンジンの旨みを余すところなく引き出してくれるのが、7段デュアルクラッチ式トランスミッション(DCT)のSトロニックである。

レースの世界ではポルシェが最初に実用化したDCT(PDK)だけれど、量産モデルではアウディが世界初。

その経験が息づくSトロニックは、シフトアップするたびにタコメーターの針がストンと落ちるほどシフトが速いのに、シフトショックは皆無。

しかも、歯車でエンジンと車輪がつながっているだけあって、スロットルコントロールにダイレクトに反応してくれる点が嬉しい。

これと組み合わせられるシャシーは、やや硬めの乗り心地で路面からのコツコツというショックを伝えるけれど、ボディや足まわりがガッシリと作り込まれているのでいやな振動が尾を引くこともなく、不快な印象が少ない。

乗り心地は無骨だったけれどどこまでも頼もしく感じられた、かつてのドイツ車に近い感覚といえばわかってもらえるだろうか。

内外装の作り込みが丁寧なことを含め、新型A4は実にアウディらしいそしてドイツ車らしい作品といえる。

アウディA4アバント40 TDIクワトロSラインのスペック

価格:641万円
全長×全幅×全高:4770×1845×1435mm
ホイールベース:2825mm
車両重量:1700kg
エンジン:1968cc直4ターボ
最高出力(エンジン):190ps/3800-4200rpm
最大トルク(エンジン):40.8kg-m/1750-3000rpm
トランスミッション:7速オートマティック
燃費(WLTC):14.6km/L
駆動方式:4WD
タイヤサイズ:245/40R18

アウディA4アバント40 TDIクワトロSライン
アウディA4アバント40 TDIクワトロSライン    神村 聖

記事に関わった人々

  • 前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 大谷達也

    Tatsuya Otani

    1961年生まれ。大学で工学を学んだのち、順調に電機メーカーの研究所に勤務するも、明確に説明できない理由により、某月刊自動車雑誌の編集部員へと転身。そこで20年を過ごした後、またもや明確に説明できない理由により退職し、フリーランスとなる。それから早10数年、いまも路頭に迷わずに済んでいるのは、慈悲深い関係者の皆さまの思し召しであると感謝の毎日を過ごしている。

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