【個性派がマイナーチェンジ】ミニ・クーパーS 3ドアへ試乗 見た目や足回りを変更 後編

公開 : 2021.05.15 19:05

BMWが再解釈してから3代目に当たるミニが、リフレッシュ。強い個性と機敏な走りという魅力に変わりはないと、英国編集部は評価します。

新設計のアダプティブダンパーを採用

text:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
リフレッシュを受けた3代目ミニのメカニズムで特筆すべきは、新設計ダンパーの採用。クーパーSなどのスポーティなグレードでは標準装備となる、インテリジェント・アダプティブサスペンションがそれ。

ところが従来の電子制御の調整式ダンパーより、洗練度では及んでいない様子。タンパーのバルブを50ミリ秒という高速で開閉でき、強い入力が加わった瞬間に減衰力を最大50%弱くさせるというものなのだが。

ミニ・クーパーS 3ドア・スポーツ(英国仕様)
ミニ・クーパーS 3ドア・スポーツ(英国仕様)

普通に運転していると、ダンパーの減衰力が変化していることは知覚しにくい。乗り心地も落ち着きがあるとはいえない。サスペンションのストロークは短く、路面と息を合わせるというより、なぞるように走る。

しかし、そこそこ大きい起伏を超えるような場面なら、ダンパーがエッジを丸めるように機能している様子。従来のアダプティブではないダンパーなら、鋭い揺れを感じていただろう。

くぼんだマンホールやワダチを越えるような場面では、ボディ構造を通じて不快な衝撃が伝わってくる。フォードフィエスタSTほどは硬くない。でも、同等以上に身体は揺さぶられてしまう。高速道路ではロードノイズも小さくない。

そんな気になる点はあるのの、ミニの溢れる面白さをスポイルしていないことは事実。子犬のように活発な身のこなしで、ペースを速めれば自ずと楽しさに惹き込まれる。

ガゼルのように機敏に向きを変えるボディ

低い位置のドライビングポジションに、サポート性の良いシートのおかげで、多くのライバルより全身でクルマの動きを感じ取れる。メーターの数字より高いスピードで走っている感覚も得られる。

本質的に硬いサスペンションは荒れたアスファルトの影響を受けやすく、ラインも乱れがち。コーナーでは滑らかに正確なラインをなぞるタイプではない。小さなボディを活かし、積極的に切れ込んでいくのがイイ。

ミニ・クーパーS 3ドア・スポーツ(英国仕様)
ミニ・クーパーS 3ドア・スポーツ(英国仕様)

短いホイールベースと、ボディ四隅にレイアウトされるタイヤというプロポーションのおかげで、ガゼルのように機敏にボディは向きを変える。アクセルやブレーキペダルの力を丁寧に緩めれば、さらにコーナー内側へ食らいつくような動きも見せる。

そのまま積極性を高めていくと、リアタイヤが流れ出す。幅205のピレリ・タイヤは、予想より早くグリップ力の限界を迎えるようだ。

このハンドリングは、エンジンとトランスミッションの組み合わせで引き立てられる。177psを発揮する2.0L 4気筒エンジンは、サウンドは秀逸とはいえないものの、小さなボディに大きなエンジンという個性をクーパーSに与えている。

レブリミットは6000rpmより少し上に設定されるが、最も良い仕事をするのは1500rpmから4000rpmの間。28.5kg-mという太いトルクを味方に、安楽な高速走行を叶えてくれる。柔軟性にも優れ、追い越し加速も余裕でこなせる。

一体感を一層高めているのが、6速MT。わずかな手応えのある正確なレバーの動きで、エンジンの美味しい部分を堪能させてくれる。

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