【イメチェン成功?】トヨタ・ハイラックス かつての「商用車」いま日本で人気のワケ
公開 : 2021.05.16 05:45 更新 : 2021.07.27 14:44
トヨタが打ち出したIMV構想とは?
そうした中、トヨタがIMV構想を打ち出した。
イノベーティブ・インターナショナル・マルチパーパス・ヴィークルの略である。
トヨタは2004年8月25日、「新開発のピックアップトラックと多目的車(IMV)の世界最適生産・供給体制を構築へ」というニュースリリースを出している。
同日、タイで生産するハイラックス・ヴィーゴを発表。
生産拠点として、タイ、インドネシア、南アフリカ、アルゼンチンの4か国として世界140か国に輸出するとした。
この時期、世界の経済界では経済新興国をBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)と呼び、自動車メーカー各社がこれまでの、欧米日を中心とした事業体系を大きく見直していた。
筆者は当時、トヨタを含めてBRICsや東南アジア各国の現場取材を行っていた。
こうした社会の大波の中で、ハイラックスは6代目までの流れを刷新し、7代目から新世界戦略車となると同時に、日本からハイラックスは新車ラインアップから姿を消した。
その後、2015年には現行の8代目がタイで発表されると「日本でもかならず売れる」という声が日本国内のトヨタディーラーの間で出始めた。
背景にあったのが、日本でのSUVシフトというトレンドだ。
キャンプなどアウトドア対応で、ランドクルーザーやランドクルーザープラドの販売が好調だった。
「商用車」から「SUV」へのイメージ転換
こうして2017年9月12日、ハイラックスは13年ぶりに日本で発売された。
全数がタイからの輸入である。
当時の開発担当者は「主に、作業で使用する保有者が約9000人いる」と説明したが、トヨタとしては決してハイラックスを商用車として位置付けたのではない。
事実、トヨタのホームページを見れば、ハイラックスはSUVのジャンルに分類されている。
日本復活を機に、トヨタはハイラックスをスポーツトラックというイメージでさまざまな広報・宣伝活動を行い、その筆頭にガズー・レーシングでのダカールラリーマシンを紹介した。
こうして、日本でも「カッコいいピックアップトラック」としてハイラックスの認知度が高まると同時に、昨今のキャンピングカーブームもハイラックスにとって追い風となっている。
荷台に脱着式キャビンを積む、トラックキャンパー(トラキャン)や、キャンピングトレーラーをけん引するために、ディーゼルエンジンによる手厚いトルクを誇るハイラックスを活用するケースが今後、さらに増える可能性もある。
唯一無二の存在で、日本でのピックアップトラック市場を切り開くハイラックス。