【早くも海外流出?】ホンダS660の中古車相場、高値更新中 どこに向かう

公開 : 2021.05.11 17:40  更新 : 2022.03.25 18:49

オークションへの出品台数が激減

業者オークションでS660が軒並み高値で応札となっているわけだが、出品台数に大きな変化が見え始めているという。

「わたしが参加している業者オークションでは、そもそも出品台数からして激減しているんです。2月頃までは週1回のオークションで毎回10〜15台のS660が出品されていましたが、今は多くても5台程度。少ないときには2台という日もあります。日本全国でこの傾向はあると聞いていて、S660の奪い合いが始まっている印象ですね」(北関東の業者)

昨今、高値で取引されているS660に関しては日本国内ではなく、海外に持ち出されている可能性もある。
昨今、高値で取引されているS660に関しては日本国内ではなく、海外に持ち出されている可能性もある。    ホンダ

オークションへの出品台数が激減……これはどういうことだろうか?

それには、これら高額なS660の需要がどこにあるのかを考えてみると答えが見つかりそうだ。

高額なホンダS660の需要 海外?

もちろん、高額なホンダS660の日本国内での需要は一定数あるだろう。

しかし、昨今、高値で取引されているS660に関しては日本国内ではなく、海外向けではないか?

日本のオークションに出品される間もなく、中古輸出専門のブローカ―などを通して海外に持ち出されている可能性もある。

とくにホンダ製スポーツカーの人気が非常に高い香港への輸出には要注目。

香港では「日本製のスポーツカー=HONDA」といわれるほどホンダ車の人気が高い。

昨年11月に発売が開始されたホンダ・シビック・タイプRリミテッドエディションなど、香港では正規販売がされなかった限定車においては、日本やイギリスから高値で仕入れられて香港で販売されている状況だ。

(現在、4月上旬よりは業者オークションでの相場は落ち着いている)

小さくても優秀な軽 海外でも高評価

実際、ホンダS660に関して言えば、香港のホンダディーラーにて正規販売はされなかった。

にもかかわらず、S660の愛好家で作る「S660 Hong Kong」に代表されるオーナーズクラブも存在し活動も盛んだ。

オーナーズクラブ「S660 Hong Kong」
オーナーズクラブ「S660 Hong Kong」    S660 Hong Kongフェイスブックページ

香港を中心とするアジア圏(左側通行)に輸出する日本の業者いわく、「日本での値段が4月半ば以降、非常に高額になっていますが、海外(香港を中心としたアジア圏左側通行の国)の客は金に糸目をつけない富裕層ばかりです」と言う。

「人気なのはS660のマニュアル車で、わたしが取引をしている香港の中古車店には、在庫がない状態が続いており、日本からの入荷を待っています」

「色の希望は白か赤が多いですが、実際、ボディカラーの希望など聞いていられない状況です。まあ、リッチな人たちですから、色なんて塗り替えてしまえばいいという感じです」

同じ左側通行の国としてイギリスでの人気も高まりつつあるという。そもそも軽自動車じたい、ほとんど海外輸出がおこなわれていない。

それゆえ、海外の日本車ファンにとっては、「軽自動車はミステリアスなクルマ」「自分の国では売っていない希少性が魅力!」「小さいのにおもしろい。マニュアル車でスポーツ走行ができる日本の軽はすごい!」などなど、大人気となっているのだ。

また、「右ハンドルしかないなら、(25年ルールが適用されて初めて右ハンドル車の登録が認められる)アメリカにS660が入ってくるのはまだまだ当分先だね」と残念がるアメリカのファンもいるかもしれないが、25年経たずとも輸入方法はある。

「Show or Display」という輸入方法だ。

「Show or Display」には年間走行距離や走行ルートに制限があるものの、「歴史的かつ技術的な価値があるクルマ」であると米国政府機関が認めれば、25年経たない右ハンドル車であっても輸入が認められる可能性があるのだ。

オープンカー人気がそもそも高いアメリカである。ミドシップ&MT車でスポーツ走行を堪能できるクルマであり、小さくても良く考えられたエモーショナルなデザインを持つS660は北米でも人気となるだろう。

ミステリアスな日本の「Kei CAR」はJDMファンにはたまらない憧れの存在なのだ。

ホンダS660の高騰の理由がもう1つありそうだ。

記事に関わった人々

  • 加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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