【ボルボと好相性なPHEV】ボルボXC40 リチャージT5(最終回) 長期テスト 数字のアレコレ

公開 : 2021.05.23 09:45  更新 : 2021.07.27 14:50

遠くの目的地でも目指せる自由度

英国のスーパーで増えつつあるテスコ社の充電器には、定期的にお世話になった。自宅に充電器は設置せず、玄関先から伸びる充電ケーブルは通る人の邪魔になっていたようだ。

標準のAC 3kWの充電では、バッテリーを満たすのに7時間近くかかる。でも、仕事を始める朝に充電ケーブルをつなげば、夕方前には充電が終わっている。ボルボ・オンコールというスマートフォン・アプリは、充電が終わると通知してくれる。

ボルボXC40 リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5 インスクリプション・プロ(英国仕様)
ボルボXC40 リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5 インスクリプション・プロ(英国仕様)

ちなみにボルボの購入プロセスやデザイン、アプリなどはスマートだが、充電器がない環境での充電はあまりスマートとはいえない。荷室から長いケーブルを出して、コンセントにつなぐ手間がある。

ボルボに限らず、純EVも含めて共通する課題だと思う。改善策が生み出されれば、強みになることは間違いないだろう。

PHEV最大のメリットは、充電が難しいような、航続距離を超える遠くの目的地でも目指せるという自由度。特に長距離ドライブは、XC40 リチャージT5の得意分野だ。

知的な運転支援システムを利用すれば、ずっと安楽に運転できる。システムに操縦を奪われるような印象もない。バッテリーや電気モーターで車重は増えているが、乗り心地やハンドリング、動的性能が明確に損なわれた感覚も受けなかった。

一方で、気になる点がなかったわけではない。ブレーキペダルの感触が良くなく、減速時にギクシャクする場面が度々あった。エンジンオイルの消費が不自然に早いという事象も起きている。

期待ほど伸びなかった燃費

燃費は期待ほど伸びていない。平均燃費は13.6km/Lで、このクラスのSUVとしては目立って良い数字とはいえないだろう。PHEV以外のモデルと比べても。これは、編集部のほかのスタッフによる長距離移動が、大きな影響を与えている。

筆者が運転している間は、19.5km/L前後の燃費が出ていた。近所のスーパーなどへは、バッテリーだけで走れていたためだ。遠くないオフィスへ自動車通勤をするような乗り方なら、20.0km/L前後の燃費も非現実的ではないだろう。

 ボルボXC40 リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5 インスクリプション・プロと筆者
ボルボXC40 リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5 インスクリプション・プロと筆者

ボルボXC40 リチャージT5の長期テストは最終回となったが、これらの数字は、PHEVの費用対効果を考える上で外せないものになる。ユーザーの利用環境によって、計算式や当てはまる数字も変わってくる。

ロックダウンが続き在宅勤務が増えた筆者にとっては、XC40 リチャージT5は理想的なクルマに思えた。もし快適な上級コンパクトSUVを探しているのなら、筆者はXC40 リチャージT5の数字計算へ時間を割くだろう。選びたいと思えるクルマだから。

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