【スバルらしさ、どこへ】スバルEV「ソルテラ」後の新戦略 大物技術はトヨタ主導

公開 : 2021.05.12 19:25  更新 : 2021.07.08 12:59

大物技術ではトヨタ主導へ一気に転換

スバルが示した、開発体制の改革は、けっしてEVなど電動化だけに重点を置いているわけではない。

コネクティビティ技術や、高度運転支援システムのアイサイトとその延長上で考慮される自動運転技術など、いわゆるCASE(ケース)への対応が急務であるとの判断がある。

スバル・レヴォーグが搭載するアイサイトXのモニター・イメージ。
スバル・レヴォーグが搭載するアイサイトXのモニター・イメージ。    スバル

そのコネクティビティ技術については、2021年4月27日に、トヨタ/スバル/ダイハツ/マツダ/スズキの5社が次世代の車載通信機の技術仕様を共同で開発し、通信システムを共通化することを発表したばかりだ。

これは、トヨタが新車に装着しているDCM(データ・コミュニケーション・モジュール)や、そこから得られるデータをトヨタがモビリティ・サービス・プラットフォームと呼ぶクラウドサービスを基盤とした協調領域を念頭に置いたもの。

こうした基盤技術をスバルなどトヨタ以外の4社を活用して各社が独自開発のサービスに結び付けるという発想だ。

ようするに、電池/モーター/インバーターなどの電動化技術や通信関係の技術など、初期開発コストがかかる次世代技術の「大物」については、トヨタ頼みという日系メーカーが増え、スバルもそのうちの1社であるということだ。

こうした状況で、スバルは本当にスバルらしいクルマを作り続けることができるのだろうか?

「大きな決断」 Xデーはいつか?

中期経営ビジョンSTEP2.0では「スバルのありたい姿へ」として「他とはちょっと違うスバルとお客様との深い関係性をさらに進化させる」と表現している。

その上で、機能価値では、安全性/耐久性/走破性を挙げているが、現行車での技術的な他社との差別化は、水平対向エンジンによるところが極めて大きい。

決算発表時の資料に記されたCO2削減に向けたロードマップ。
決算発表時の資料に記されたCO2削減に向けたロードマップ。    スバル

シンメトリカルAWDによる低重心による安定した走り味こそ、スバルの真骨頂である。

これがソルテラを皮切りに今後本格化する。

スバルとしてEV多モデル化によって各モデルでトヨタ車との走りにおける明確な差別化は難しくなり、スバルらしさを維持することも難しくなるだろう。

そうしたスバルEVシフトの過程で、水平対向エンジンのハイブリッド化やプラグインハイブリッド化を並行して進めるのか?

それともボルボジャガーのように、スバルもEV専用ブランドという生き方を早い時点で表明することになるのか?

その上で、BRZと86については、内燃機関の開発をやり尽くして、その使命を全うする道を歩むのか?

現実的には、スバルにとって最重要市場であるアメリカが今後、カリフォルニア州など一部の州のみならず、連邦政府としてEVシフトについてどのような政策を進めるかによって、スバルとして「大きな決断」をしなければならない日が訪れるのかもしれない。

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