【詳細データテスト】プジョー508 駆動系は円滑 しなやかな足回り 加速とEVレンジはイマイチ

公開 : 2021.05.15 20:25  更新 : 2021.07.08 12:58

プジョーのスポーティブランド初の作品は、ハイブリッド制御のなめらかさと、しなやかなハンドリングが特筆ものです。加速と電力での航続距離にもう少し優れ、ギアボックスがドライバーの意を汲めば、さらに魅力的ですが。

はじめに

1980~90年代、手頃な価格帯のパフォーマンスカーの人気が高まるなかで、大きな役割を果たしたメーカーのひとつに数えられるプジョー。しかし最近、ホットハッチといえるようなクルマは、2015年の308GTiから登場していない。

そして、その手のクルマを取り囲むマーケットの状況は、かつてと大きく変わってしまった。欧州は、ロード・トウ・ゼロを掲げる電動化が急速に進行中。また、CO2排出量の多いパフォーマンスカーは、炭素量に関わりのある諸税がうなぎ上りだ。少なくとも、プジョーのお膝元であるフランスはそうなっている。

テスト車:プジョー508 プジョースポール・エンジニアード・ハイブリッド4 SW
テスト車:プジョー508 プジョースポール・エンジニアード・ハイブリッド4 SW    LUC LACEY

そうしたもろもろをすべて考え合わせると、現実的なパフォーマンスカーの重要な担い手という立場にあり続けるために、プジョーが革新的で大胆な考え方をしてこなければならなかったのは納得できる。

ここ数年、競合メーカーのなかには、差し迫る問題から目を逸らしてなにも変えなかったところもある。手っ取り早く、手頃な電動化パフォーマンスカーを用意して手を打ったところもあるが、そうしたクルマはえてして、通用しないわけではないが、それほど楽しくはないものになりがちだ。

それに対してプジョーは、実験的な試みを重ねて新たな道を切り開き、敢えてそれを信じて突き進んできた。

308GTiが登場した2015年には、500ps近い出力を誇るプロトタイプの308ハイブリッドRを製作している。その完成度は、ジャーナリストに試乗させる機会が設けられたほど高いものだった。残念ながら市販化は見送られてしまい、それから数年はマーケットの混乱もあった。

だが、ついにプジョーのパフォーマンスエンジニアリング部門が、電動化モデルを本格的に手がけるときがきた。そうして実現したのが今回のテスト物件、508プジョースポール・エンジニアードというわけだ。

508PSEと略称されるそれは、プジョー史上最強の量産モデルで、技術面でも冒険的という点にかけては屈指の内容だ。パワートレインは、4気筒ガソリンエンジンと、前後に配置されたパワフルな電気モーターで構成される。

バッテリーは大容量で、激しいドライビングの際に2基のモーターへ十分な電力を供給するのはもちろん、電動走行が可能で、税制面で優遇されるPHEVを成立させる重要なファクターにもなっている。

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