結論　★★★★★★★★☆☆

近年、プジョーのパフォーマンス志向の物件は散発的だった。しかし、新設されたサブブランド、プジョースポール・エンジニアリングの処女作は、ただし書き付きではあるものの、成功するに違いない。

508PSEは高額なクルマだ。また、ライバルより重ためで、シリンダー数は少なく、リア優勢なパワートレインも持ち合わせていない。しかし、優れた4WDホットハッチのようなハンドリングと、ドライバーを熱中させる能力は、速いワゴンのランキングのなかで508PSEの順位を押し上げる。セダンでも同じことがいえるだろう。

この508のフラッグシップは、B級道路でのアジリティに優れるだけでなく、日常使いでは落ち着いていて、洗練されたロードマナーと乗り心地をみせる。プジョーは安易にスポーティさを演出するだけでなく、手抜きなくこのクルマを仕上げたことが伝わってくる。

3つのパワーソースの円滑な調整ぶりも、念の入った開発ぶりを物語る。それでも、駆動系の欠点は見過ごせない。レスポンスはいいが、絶対的な加速性能は物足りず、ハンドリングとは違って夢中になれるほどではない。

また、EV走行の航続距離がもっとあれば、より価値を見出せるクルマになっただろう。しかし今のままでは、508PSEのハイブリッドシステムは美徳というより必要悪といった印象が強い。このクルマの魅力が見出せるのは、それ以外の部分だ。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

パフォーマンスカーがハイブリッドにならなくてはいけないのなら、もっともそれが成立しやすい車種はおそらく速いワゴンだ。バッテリーによる増加分を吸収できるだけの重量があり、EVモードにより万能性はさらに高まる。今回のプジョーは、まさしくそれが当てはまるクルマだ。

マット・ソーンダース

プジョーは、バリアブル電動パワーステアリングにファインチューンの余地を残している。一般的には直感的なシステムなのだが、ときどき自分の操舵より速く切れる感覚があり、操作の流れが思うようにいかないことがある。

オプション追加のアドバイス

PSEの装備は充実しており、最大の選択はセダンかワゴンかを決めることだといっていい。いずれにしても、おすすめのボディカラーはセレニウムグレーかネラブラック、もしくはパーレセントホワイトだ。

改善してほしいポイント

・パーキングスピードでのパワートレインのスムースさがほしい。ときどき、しゃくり上げるような動きが出る。
・iコックピットのレイアウトを考えると、ステアリングコラムのチルト調整幅が足りない。また、フィールももう少しほしい。
・EV走行の航続距離はもっと伸ばしてもらいたい。

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