【詳細データテスト】プジョー508 駆動系は円滑 しなやかな足回り 加速とEVレンジはイマイチ
公開 : 2021.05.15 20:25 更新 : 2021.07.08 12:58
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
車体の重い508PSEだが、ワインディングなどに持ち込むと元気な走りをする。衝撃的だったのは、上下も左右も巧みなボディコントロールが、決して荒っぽい動きを生まないことだ。
路面への追従性が損なわれないさまは、往年の偉大なフランス車を彷彿させる。しばしば、外部の影響をまったく受けていないようにさえ思えるのだ。フラストレーションを感じることはなく、むしろコンフィデンスをもたらしてくれる。
その自信は、ステアリングからくるものだ。電動アシストのそれは、フィールにどことなく人工的なところが残っていて、可変レシオのギアリングには一貫しないところがみられることもある。
しかしながら、大抵の場合はグリップの増減をしっかり伝えてくれるし、ターンインでの精確さや巧みさもみごとだ。フロントトレッドがウィッシュボーンの延長で拡幅され、ネガティブキャンバーも増しているのが効いている。それを感じられて、しかも楽しめる。
508PSEは、ブレーキを残したままコーナーへ飛び込みたくなるクルマだ。そうすると、出来のいい前輪駆動ホットハッチのようなアジリティと旋回力を発揮してくれる。そこから早めにスロットルペダルを踏み込み、リアモーターを起動させると、挙動がニュートラル寄りになり、コーナー脱出での駆動力が上乗せされる。
ベースモデルと同じく、比較的ナローな全幅の恩恵も受けられる。路上での位置決めが容易で、しなやかで遊べるシャシーをセンターラインや区画線に寄せすぎることなく操ることができるのだ。
もちろん、508PSEのハンドリングには別の顔もある。それはよりゆったりとしたもので、GT的なスポーツモデルというキャラクターにぴったりの操舵感だ。ドライビングに熱中できないとき、もしくは本気で走りたくないときには、バランスと落ち着きのあるなめらかな動きをみせる。
シャシーはかなりのグリップを生み、楽にスピードを出せる。実際、少なくともある程度までは、この性能と勢いに圧倒されないで走れるような道を探すのは難しい。