【異変】新車の国内販売 トップ3にスズキ/ダイハツ 理由はトヨタの「すき間」

公開 : 2021.05.13 18:05  更新 : 2021.10.22 10:07

ダイハツ小型/普通車 5年前の34倍

ダイハツはスズキほど小型/普通車の登録台数は多くないが、それでも以前に比べれば急増した。

2015年に国内で登録されたダイハツの小型/普通車は、1年間にわずか1654台であったが、2020年は5万6169台だ。5年前の34倍に達する。

ダイハツはムーヴキャンバスが堅調に売れて需要の下降を抑えている。
ダイハツはムーヴキャンバスが堅調に売れて需要の下降を抑えている。    佐藤正勝

スズキと同様の理由で、小型車の売れ行きを増やした。

またタントは、2019年に登場した主力車種としては販売が不調ながら、ムーヴキャンバスが堅調に売れて需要の下降を抑えている。

その結果、ダイハツは国内販売では僅差ながらホンダを抜いて3位に浮上した。

ただし軽自動車、将来的に油断できぬ

今後は各メーカーとも、環境対応で電動車(ハイブリッドを含む)の普及を進める。

日産も2030年代の早い段階で、すべての車種を電動化する方針を打ち出した。

そうなると環境対応の開発コストが高まり、自動運転技術などにも多額の投資が必要だから、従来に比べると新型車への開発投資は減る。

特に電動機能を備えない純粋なエンジン車は大幅に少なくなる。直近の国内販売では、この隙間を突いて、軽自動車がさらに伸びる余地がある。

ただしそのさらに先を見通すと、価格を抑える必要のある軽自動車では電動化が難しい。

軽自動車が成立しなくなって消滅すれば、安価なクルマも失われ、公共の交通機関が未発達な地域ではライフラインに支障を来たしてしまう。

軽自動車の販売比率が40%に達して、国内販売ランキングの2位がスズキ、3位はダイハツという状況は、今後直近の売れ方を先取りしたものといえるだろう。

メーカーは今のうちにマイルドハイブリッドの発展型など、軽自動車の価格に見合った高効率な電動化技術を磨き、将来の燃費規制に対応する必要がある。

軽自動車では、国産メーカーが全社共同で電動技術を開発して、量産効果を得るといった対策も必要になりそうだ。

今はトヨタがダイハツの親会社になり、スズキとも提携しているから、連携を図りやすい。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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