【燦然と輝くフラッグシップ】アルファ・ロメオ・ジュリアGTAmへ試乗 500台限定 前編
公開 : 2021.05.16 08:25
フェラーリが設計・開発したV6ユニット
ハードコア仕様のGTAmの場合、軽量なプラスティック製リアドアとポリカーボネート製のリアウインドウを獲得。シートはサベルト社製のカーボンシェル・バケットになり、ドアハンドルはナイロン製のベルトに交換される。
ロールケージが組まれ重くなるが、リアシートは取り外さる。これらの結果、40kgのさらなる軽量化を果たし、GTAmの車重は1540kgになるという。
カーボン製ボンネットの下に収まるのは、クアドリフォリオと同じ2.9LのV型6気筒ツインターボ・エンジン。フェラーリが設計・開発したユニットで、GTAの場合は30ps増しの540psを発揮する。
新開発のコンロッドにオイル・インジェクターの追加、オイルクーラーの強化、ターボ制御ユニットのアップデートなどを受けている。リアディフューザーの中央に顔を覗かせるのは、アクラポビッチ社製のチタン・エグゾーストノートだ。
最大トルクは61.1kg-m。クアドリフォリオと変わりはないが、足りない数字ではないだろう。
トランスミッションはZF社製の8速AT。電子制御のリミテッドスリップ・デフを介して後輪を駆動する。どちらも制御マッピングはGTA専用らしい。
まだモディファイ部分は終わらない。トレッドはフロントで25mm、リアで50mm広くなり、電動機械式のパワーステアリングのマッピングも専用のもの。
フロントがダブルウイッシュボーン式でリアがマルチリンク式となるサスペンションは、車高を低め引き締められたスプリングを獲得し、ダンパーとアンチロールバーも強化品を装着。そのほか、無数の細かな改良が加えられている。
現時点で最高のパフォーマンス・サルーン
ホイールは専用の20インチで、センターロック式。タイヤはミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2を履き、サイズはフロントが265/30 ZR20、リアが285/30 ZR20とワイドだ。
一通り概要を確認したところで、GTAmに乗り込んでみよう。そのドライビング体験は、極めて惹き込まれるものだった。ジュリア・クアドリフォリオとは別次元の体験といってもいい。ここまでのドライバーとの一体感は、類まれなものだと思う。
ジュリアGTAmは、確かに動的性能も素晴らしい。それでいて、一部の高性能ライバルのように我慢を強いることもない。その乗り心地は、毎日運転したいと思えるはず。
サベルト社製のシートはやる気満々。正しい雰囲気を匂わせる。インテリアはジュリア・クアドリフォリオと基本的に共有だが、ダッシュボードやヘッドライニングなど、要所にアルカンターラが用いられる。
エンジンのスタートボタンは、ステアリングホイール上にある。エンジンを目覚めさせれば、現時点で最高のパフォーマンス・サルーンの入り口が開く。
V6ツインターボは改良を受けているが、素晴らしい特性を変えるほどの内容ではない。エネルギッシュさが一層増した印象。郊外の道で前方が開ければ、常にクアドリフォリオより鋭い加速を与えてくれる。
マイルドなドライブモードを選択していると、低回転域では肩透かしなほどに穏やか。しかしスポーティなモードではトルク感が一気に高まり、大排気量のライバルに負けない中回転域での勢いを提供してくれる。
この続きは後編にて。