【燦然と輝くフラッグシップ】アルファ・ロメオ・ジュリアGTAmへ試乗 500台限定 後編

公開 : 2021.05.16 19:05

アルファ・ロメオというブランドと、GTAという肩書の見事な復活だと絶賛する英国編集部。スポーツサルーンとして白眉の仕上がりなようです。

0-100km/h加速は3.6秒、最高速度は307km/h

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
アルファ・ロメオジュリアGTAmのアクセルペダルを踏み続ければ、フェラーリ由来のV6ツインターボ・エンジンは7200rpmのレブリミットまで滑らかに吹け上がる。積極性にも事欠かない。

8速ATはトルクコンバーター式ながら、変速は滑らかでクイック。エンジンと良いペアになり、優れた動的性能を引き出せる。シフトアップもシフトダウンも狙い通りで、回転数を合わせるレブマッチ機能も働くようだ。

アルファ・ロメオ・ジュリアGTAm(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリアGTAm(欧州仕様)

1つ残念なのが、ステアリングホイールではなく、コラム側に取り付けられたシフトパドル。少し扱いにくいと思う。サイズが大きすぎ、ウインカーレバーなどの操作もしにくい。

GTAの0-100km/h加速は3.6秒で、ジュリア・クアドリフォリオより0.3秒速い。最高速度は可変式のリアウィングの設定で変わるというが、ダウンフォースが最も少ない状態なら307km/hに届くと、アルファ・ロメオは説明する。

直線加速にも驚かされるが、それより心に響くのがアクラポビッチ社製のチタン・エグゾーストが奏でるサウンド。低回転域ではザラザラとドライで、回転数の上昇とともに音色が変化。レブリミット手前では、凄まじい唸りを轟かせる。

ドライブモードによっては、アフターファイヤーの破裂音もお構いなしに鳴らしてくれる。少しにぎやか過ぎるかもしれないけれど。

そして何より、ジュリアGTAのドライビング体験の根底にあるのが、一貫してダイレクトな操縦性。市街地を流したり、空いたバイパスで加速するだけでも、滑らかな感触とダイナミックな特性との一体感を味わえる。

4ドアサルーンの中で群を抜いた一体感

ここまでクルマと一つになれるモデルは、歴代のアルファ・ロメオでも随一。現在の4ドアサルーンの中でも群を抜いていると思える。1km走る毎に、操る自信が高まっていく。

攻め立てていっても、ドライバーへの要求が高まることはない。正確で鋭い操舵感とシャシーの見事な落ち着きで、さらに気持ちを高ぶらせてくれるだけ。限界領域まで迫っても、常に挙動は予想できる範囲にある。

アルファ・ロメオ・ジュリアGTAm(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリアGTAm(欧州仕様)

タイトコーナーでは荷重移動に合わせてわずかなボディロールが生じるが、すべての動きは漸進的。完璧なダンピング特性で、ドライバーが不安になることもない。

フロントタイヤのグリップ力は非常に高い。タイトコーナーで突っ込み過ぎるとアンダーステアへ推移するが、アクセルペダルの操作で修正も可能。一気に右足の力を緩めるだけで、リアエンドを暴れさせることなくタイトにラインを絞っていける。

スタビリティ・コントロールをオフにすれば、さらに次の次元の操縦性が開放される。オーバーステアからのドリフトを楽しめるが、これはサーキット用に取っておいた方が良いだろう。

全体の仕上がりと比べると、ブレーキの感触は比較的普通。頼もしい制動力が立ち上がる前、ブレーキペダルの踏み初めに曖昧なところがある。だが一度機能し始めれば、レースカーのように速度を絞る。

ブレンボ社製のカーボンセラミックが標準装備。フロントが390mmのディスクと6ポッドキャリパー、リアが360mmのディスクと4ポッドキャリパーという組み合わせだ。

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