【量産メーカーの英断】日産GT-RxトヨタGRヤリスxアルピーヌA110 比較試乗で祝う 後編
公開 : 2021.05.30 09:45
運転すれば笑顔が止まらなくなる
GRヤリスで走り始めると、高性能な部品が組み合わされた以上の内容に到達していることが見えてくる。ミドシップのA110なら、路面が濡れていれば少し優しい運転が求められる。GRヤリスでは、そんな気遣いはいらない。
運転すれば笑顔が止まらなくなる。A110は落ち着いたヨガのインストラクターのようにストイックかもしれない。でもGRヤリスは活発なハイティーン。抜けられなくなるような楽しさだ。
回転数の上下に合わせてサウンドが変化する、3気筒エンジンのビートも素晴らしい。大きなシングルターボだから、低回転域での応答性は良くない。2500rpmを超えれば、レッドラインまで一気に吹け上がる。
かつてのスバル・インプレッサWRXのような、ドッカンターボではない。面白さや中毒性ではそれ以上だ。英国郊外の開けた道を克服するのに、まったく不足はない。
ラリー・スペシャルのように、GRヤリスには知的な四輪駆動システムが載っている。通常は60:40でフロント寄りの駆動力配分だが、トラック・モードでは50:50に切り替わる。
さらにスポーツ・モードなら30:70と、リア寄りへ変化。ウェットでもドライでも機敏で自由に振り回せ、この上なく魅力的なクルマになる。
三菱ランサー・エボリューションのように、アクセルオンでラインが引き締まっていくようなワザはない。しかし、GRヤリスのようにグリップし旋回できるクルマは、現代基準でも限られている。高度な技術が融合し、際立っている。
3台ほどに興奮できるクルマは多くない
確かにトヨタGRヤリスにも、妥協を感じる部分はある。A110にも、ルノー製の量産部品が用いられている。だが、今回の3台ほど興奮させてくれるクルマは正直多くはない。
個性的なメーターパネルや、ダイアモンドがあしらわれたインテリアなどは、本当に必要なモノだろうか。クルマ好きとして予算をつぎ込むなら、選ぶべきモデルは自ずと見えてくるだろう。
今回の3台は、どれも選ぶ価値がある。許されているうちに、手に入れたいモデルばかり。自動車メーカーの経営陣を、その人気ぶりで驚かせられれば最高だろう。
これをAUTOCARの祝辞としたいと思う。
GRヤリス、A110、GT-R ニスモ 3台のスペック
トヨタGRヤリス・サーキットパッケージ(英国仕様)のスペック
価格:3万3495ポンド(502万円)
全長:3995mm
全幅:1805mm
全高:1455mm
最高速度:230km/h(リミッター)
0-100km/h加速:5.5秒
燃費:12.1km/L
CO2排出量:186g/km
乾燥重量:1310kg
パワートレイン:直列3気筒1618ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:260ps/6500rpm
最大トルク:36.7kg-m/3000-4600rpm
ギアボックス:6速マニュアル
アルピーヌA110 カラーエディション(英国仕様)のスペック
英国価格:5万9740ポンド(896万円)
全長:4205mm
全幅:1800mm
全高:1250mm
最高速度:259km/h
0-100km/h加速:4.4秒
燃費:15.2km/L
CO2排出量:152-157g/km
車両重量:1114kg
パワートレイン:直列4気筒1798ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:292ps/6400rpm
最大トルク:32.5kg-m/2000-6400rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
日産GT-R ニスモ(英国仕様)のスペック
価格:18万95ポンド(2701万円)
全長:4690mm
全幅:1895mm
全高:1370mm
最高速度:315km/h
0-100km/h加速:2.8秒
燃費:7.0km/L
CO2排出量:316g/km
車両重量:1703kg
パワートレイン:V型6気筒3799ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:600ps/6800rpm
最大トルク:63.7kg-m/3600-5600rpm
ギアボックス:6速デュアルクラッチ・オートマティック