【クラシックな姿はそのままに】JIAチーフテン・レンジローバーへ試乗 GM製6.2L V8を搭載
公開 : 2021.05.27 08:25 更新 : 2022.08.08 07:30
クラシック・レンジローバーをレストモッドし、現代的なオフローダーに仕上げたJIA社。普段遣いも許してくれる、魅力的な1台といえそうです。
もくじ
ーGM製のV8に独自のサスペンション
ー戦車が崖を落ちるような勢いで加速する
ー正確なステアリングと落ち着いた乗り心地
ー高いパフォーマンスとクラシックとの共存
ーJIAチーフテン・レンジローバー(英国仕様)のスペック
GM製のV8に独自のサスペンション
最近は、レストモッドされたクルマをご紹介する機会も多くなった。今回試乗したのは、クラシック・レンジローバーをベースとした、チーフテンだ。
手掛けたのは、インターセプターのアップデートなどで英国では名の通った、ジェンセン・インターナショナル・オートモーティブ(JIA)社。実は数年前にも、JIAは初代チーフテンを制作している。
それは、ランドローバー・ディスカバリー3のシャシーに、レンジローバーのボディを載せたものだったらしい。仕上がりは良さそうに見えたが、コンバージョン作業は極めて複雑で、価格は信じられないほど吊り上がってしまったという。
そこでJIAは知恵を絞り、まったく新しいチーフテンを考えた。基本的にはベースのレンジローバーの主要構造を流用しながら、フロントにはパワフルなGM社製のV8エンジンを収めている。
今回の試乗車の場合、6.2LのLS3ユニットが搭載され最高出力は436ps。トランスミッションは6速ATで、2段トランスファーとリミテッドスリップ・デフを持つ、既存の四輪駆動システムに組み合わされている。
新調されるラダーフレームには、独自のダブルウイッシュボーン式サスペンションが組まれ、トレッドは広げられた。ドラブシャフトが伸びるデフはそのままで、コイルスプリングはシャシー側に追加されたマウントから吊り下がる。
ダンパーはスパックス社製の調整式。ほかにも、現代モデルのように扱いやすく信頼性を高めるため、細かな改良が施されているという。
戦車が崖を落ちるような勢いで加速する
今のところJIAがベース車に選んでいるのは、1990年代初めに生産されていたソフト・ダッシュと呼ばれるレンジローバー。レトロとモダンのベストミックスといえる年式で、エアコンやエアバッグなど、現代的な装備も整っているのが理由とのこと。
レストモッドの例に準じて、仕様の自由度は広い。試乗したチーフテンでは5ドアボディをベースにしつつ、独自のバンパーにLEDヘッドライト、コンポモーティブ社製のホイールを装備。オリジナルよりずっと好戦的な見た目に仕上がっている。
中に乗り込んでみると、インテリアは確かに新旧が上手にバランスしている。ソフト加工されたダッシュボードも、初期のレンジローバーより人間工学的にだいぶ良好だ。
サンルーフが頭上空間を削っているものの、ステアリングコラムは角度調整でき、丁度いい運転姿勢が取りやすい。シートとステアリングホイールは、手縫いのレザーで仕立ててある。
カーペットは新品で毛足も充分。天井の内張りもきれいで、ウッドドリムも新しい。車内空間はレンジローバーに準じて広く、テールゲートは上下に分割して開く。荷室も広い。
昔ながらのキーをひねると、6.2LのV8エンジンがひと吠え。あり余るパワーとトルクで柔軟に走る。戦車が崖を落ちるような勢いで、加速していく。
6速ATの変速マナーは、ハイペースではクイックでクリーン。ゆっくり走っている時は滑らかだ。低速域で急にアクセルペダルを踏み込むと、変速に違和感がある場面もあるが、それ以外はよく制御されている。