【標的はウルスやRS Q8】ポルシェ・カイエン・クーペ 最速版の試作車へ試乗 640ps
公開 : 2021.05.25 08:25 更新 : 2022.06.22 14:31
突出した直線安定性と加速性能
速度が高まるほどに、風切り音も大きくなる。だが拡大されたスポイラーやディフューザーが生み出すダウンフォースのおかげで、突出した直線安定性を備えている。
圧倒されるほどの加速性能は、標準装備されるチタン製エグゾーストシステムが音響面でも強化する。7000rpmのレッドラインまで、怒涛の唸り声は激しく大き変化していく。
ブレーキは、カーボンセラミック製が与えられる。ホッケンハイムリンク内のポルシェ専用コースでは、素晴らしい制動力を見せつけてくれた。
ディスクの温度が低い間は、ペダルの踏み込み初期に曖昧な領域がある。しかし一度熱くなれば、2200kgのスーパーSUVに不足ない制動力を発揮してくれる。
アルミニウムが多用されるサスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン式で、リアがマルチリンク式。6段階に車高調整が可能で、一番低くすることでカイエン・クーペの重心位置も下げることができる。
このサスペンションは、4Dシャシー・コントロールとポルシェが呼ぶシステムで制御される。標準装備となる電子制御のアンチロールバーや後輪操舵システムも、その支配下にある。
基本的には、アウディRS Q8やランボルギーニ・ウルスと同じ機構。だがポルシェ独自の、電圧48Vのシステムを採用しているという。
最も機敏にボディが動くカイエン
コーナーの続く道へプロトタイプのカイエン・クーペを進めると、レスポンスが鋭くなっていることに気付く。ドライブモードに関係なく、これまでのカイエンの中で最も機敏にボディが動く。
電気機械式となるパワーステアリングはわずかに重さを増し、従来のカイエン・ターポ・クーペより反応がいい。強められたネガティブキャンバーや新しいホイールとタイヤ、広くなったトレッドなども影響しているはずだ。
ガッシリとしたステアリングホイールに伝わるフィードバックは、濃くはない。それでもコーナーへ積極的に飛び込めば、フロントタイヤはしっかり路面へ食らいつき、大きなボディは鋭く向きを変えていく。
この操縦性を決定づけているのが、リアタイヤ。後輪操舵システムは、さらに深い舵角が与えられるようにチューニングを受け、積極的にカイエン・クーペを旋回させていく。ニュートラルなコーナリングでありながら、アンダーステアも抑え込まれている。
最新のポルシェ・カイエン・クーペのコーナリングは出色。それを、ドラマ性もなく平然とやってのける。
ターボの最上位に位置付けられるポルシェ・カイエンが仕上がるまでには、まだ数か月が残されている。しかし、そのパフォーマンスの高さは充分に感じ取れた。ランボルギーニ・ウルスは、さらに競争相手が増えることになりそうだ。