【排ガス規制でエンジンは高くなる】アウディ 新型Q4 eトロンは売れる? CEOインタビュー
公開 : 2021.05.22 06:05 更新 : 2021.11.11 13:19
排ガス規制は頭痛の種
――電動化によって、アウディのモデル数は減るのでしょうか?
「わたし達が提供するモデルの数が増えるとは思えませんし、おそらく少しは減るでしょう。電動化したモデルを投入することで内燃機関モデルの数は確実に減りますが、総モデル数の削減は優先事項ではありません。安定した状態を維持することが最優先です」
――アウディは新しいエンジンを開発しないとおっしゃいましたが、フォードは2030年までに欧州のすべてのクルマをEVにするという目標を掲げています。アウディも同様の発表をするのでしょうか?
「いいえ、わたしが公式に発表するのは、アウディが作る最後のエンジン車は、同タイプで最高のものになるということです。各市場で需要が異なることを考えると、期日を発表するには時期尚早です。しかし、わたし達はアウディの戦略全体を見直している最中であり、このことが議論の対象になることは間違いありません」
――一部のメーカーは、排ガス規制ユーロ7によってエンジンに膨大なコストがかかり、バッテリー価格の低下と相まって、EVと内燃機関のコストがクロスオーバーすると言っています。これについてはどうお考えですか?
「ユーロ7(基準)を満たすことで内燃機関に多大なコストがかかることは確かであり、遅くとも今後10年以内にクロスオーバー・ポイントが訪れると考えています。ユーロ7は本当に頭の痛い問題で、特に環境改善にはあまり効果がありません。ですから、このクロスオーバー・ポイントにはすぐに到達するでしょう」
PHEVは「やり過ぎ」なクルマ
――バッテリーEVがあまりにも急速に進歩したため、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)は短期間しか必要ないのではないかという指摘があります。どう思われますか?
「わたし達はPHEVを便利な橋渡し技術と考えていますが、技術的にはやり過ぎです。なぜなら、1台のクルマに2つのパワートレインを搭載する必要があり、そのうちの1つは間もなくユーロ7基準の高価な内燃機関になるからです」
「また、モビリティのCO2ニュートラル化も実現していません。だからこそ、わたし達はアウディの将来のモデルにバッテリーEVを強く意識しているのです」
――それは、PHEVを販売しないほうがいいということですか?
「いいえ、現在は販売しています。子会社やお客様のニーズから、そうせざるを得ないのです。難しい話に聞こえるかもしれませんが、そういうことなのです。わたし達は、完全EVが未来であると確信しています」
――バッテリーのコストは本当に下がっているのでしょうか?下がっているとしたらどのくらいのスピードなのでしょうか?
「バッテリーのコストには、商品価格、材料供給、需要の変動、輸送など、さまざまな要因が影響します。しかし、技術的な傾向として、コストは大幅に下がるでしょう。わたし達は、この10年程度で50%の低下を予測しています。技術はすでに十分に発達しており、これが実現できることは明らかです」
――電気モーターはどのように進化しますか?
「特に、バッテリーの航続距離や充電インフラの問題が軽減されれば、モーターもさらに発展するでしょう。現時点では大きく変わる兆しはあまりありませんが、今後15年間で変化していくでしょう」
「主な要因はサイズで、フォーミュラEで使われている小さなモーターを見たことがありますか?重量、効率、コストも重要です。簡単な技術ではありません。一見すると簡単そうに見えて、法律上の問題も少ないのですが、うまくやるのはまだとても難しいのです」