【ハイラックスの動きにも注目】フォードF150ライトニング登場 「ピックアップはEVに向かない」覆す
公開 : 2021.05.23 05:45
車両価格 大型EVではリーズナブル?
タフネス以外には、防災のためのV2H(ビークル・トゥ・ホーム)を強調した。
30kWhで一般家庭へ3日間の電力供給を可能とする。
また、荷台の脇には交流用の出力用のプラグがあり、電動工具などが使えるというイメージ動画も公開された。
これまで、欧米のEVではこうしたクルマから外部への電力供給という発想の商品コンセプトが目立たなかっただけに、フォードの新たなる試みに興味を抱くアメリカ人は多いはずだ。
さて、F150ライトニングで最も気になるのは、車両価格である。
ベースモデルが3万9974ドル(1ドル109円換算で436万円)、また上級グレードのXLTの5万2974ドル(577万円)と大型EVとしてはリーズナブルな印象がある。
こうした値付けは明らかに、GMシボレーのシルバラードEVバージョンや、テスラのサイバートラックを意識したものだ。
EVの製造コストとして大きな比重を占めるのは、いまだに駆動用バッテリーであり、GMは韓国LG化学と共同開発したEVプラットフォーム「アルティウム」があるが、シルバラードEVでは既存の車体にバッテリーなど電動パーツを移植するケースが考えられる。
こうしたやり方を、日系メーカーでも今後、採用する可能性は否定できない。
その理由はF150がピックアップトラック市場のリーダー的存在だからだ。
トヨタのEVピックアップはあるのか?
Fシリーズは、いわずと知れた「アメリカで最も売れているクルマ」だ。
過去44年間連続でピックアップトラック販売No.1。近年、アメリカ市場の約7割が、ピックアップトラックとSUVによるライトトラック市場で、残り3割強が乗用車だ。
直近の2020年のFシリーズ全体の米国販売台数は78万7422台で、2位のGMシルバラード(58万6675台)を大きく引き離した。乗用車ではSUVシフトが進んでおり、トヨタRAV4が43万387台となっているが、Fシリーズはその2倍近い規模で売れている。
つまり、Fシリーズでの変化は、アメリカ自動車産業に大きな影響を与える。
ライバルのシルバラードEVも量産確定のため、これに続くはステランティスのラムとなり、さらにトヨタのタンドラ、そして日産のタイタンとフルサイズピックアップトラックのEV化が進むかもしれない。
その中でタンドラはフルモデルチェンジ時期が近く、ハイブリッドがラインナップされるとのうわさもある。
次は、北米向けを含めたグローバルでのミドサイズピックアップトラックへとEV化の波が押し寄せる可能性がある。
そうなれば当然、トヨタではハイラックスの電動化が視野に入る。
はたしてトヨタは、EVプラットフォーム「e-TNGA」を、世界戦略トラックIMVといかに連携させていくのか?
今後のトヨタの動きにも注目したい。