【奇しくも同じ日】トヨタ世界初水素レースカー24時間完走 ホンダ32年ぶりモナコGP優勝
公開 : 2021.05.24 19:25 更新 : 2022.11.01 08:41
ホンダがモナコ優勝 セナ以来32年ぶり
富士24時間レースがフィニッシュした約9時間後、日本では5月24日に差し掛かろうとしていた頃、欧州モナコの地ではホンダが美酒を浴びていた。
F1世界選手権2021シーズン第5戦のモナコグランプリで、レッドブルレーシングホンダのマックス・フェルスタッペン選手が優勝した。
ホンダがモナコグランプリを制するのは、なんといま(2021年)から32年前。勝者は、あのアイルトン・セナだった。
今回のレースでは、フェルスタッペン選手は予選2番手だったが、ポールポジションを獲得したフェラーリのシャルル・ルクレール選手が予選時のクラッシュの影響で決勝は出走できなかったため、フェルスタッペン選手がトップでスタートしレース全体を上手くコントロールした。
これで今季2勝目となり、ドライバーズポイントはトップに躍り出た。
また、ホンダとしては通算80勝目となり、マニュファクチャラーズポイントで30年ぶりにトップに立った。
ホンダF1は第1期(1964~1968年)、第2期(1983~1992年)、第3期(2000~2008年)、そして現在の第四期となり、今シーズンをもって事実上の完全撤退となる。
そうした時期に、セナ時代のホンダF1黄金期を彷彿させる今回のモナコ勝利を見て「F1撤退を撤回してほしい」というファンも多いだろう。
だが、ホンダとしてF1撤退の意思は固い。
来たるべき2040年目標への試練
2020年10月のホンダF1撤退発表時、当時の八郷隆弘社長は「来たるべきカーボンニュートラル時代を見据えて、人材や予算などを思い切って振り分ける」と次世代ホンダに向けた開発体制の大転換を強調した。
その半年後の2021年4月、三部敏弘社長は社長就任会見の中で「2040年までに、グローバルで新車EV/FCV 100%」という高い目標を掲げた。
また、モータースポーツについて三部社長は、国内スーパーGTを継続するとともに、EVなどで「ホンダとして参戦する意義があるものがあれば、参戦を検討する」と発言している。
前述のトヨタ水素エンジン車のように、ホンダの次世代量産車をアジャイル開発する場として、モータースポーツを活用する可能性は十分にあるということだ。
ただし、その昔のように、「走る実験室」「走る広告塔」といった発想だけでは、ホンダの本格的なレース参戦はないだろう。
なぜならば、ホンダがこれまで掲げてきた「パワード・バイ・ホンダ」という企業思想が転換したからだ。
パワーは、単なる原動機やモーターを指すのではない。
新たに「意思を持って動き出そうとしている世界中全ての人を支えるパワーとなることで、人々の可能性を拡げていく」と定義している。
セナのモナコ制覇から32年目の優勝を受け、ホンダが新たな道を歩み始めていることを実感した。