【さまざまな思惑が絡む?】ランボルギーニに1兆円の買収案 スイスの投資会社 VWグループは売却拒否か

公開 : 2021.05.26 19:05

業績好調のスーパーカーブランド

買収が実現すれば、ランボルギーニは過去23年間傘下にあった親会社から切り離されることになるが、クァンタム・グループAGは、同ブランドの既存の経営陣を維持するとしている。買収提案には、既存の従業員に対する最大5年間の雇用保証も含まれているほか、ドイツにイノベーションセンターを設立することで、最大850人の新規雇用を創出するとしている。

事業計画では、2025年までにランボルギーニを「アップスケール」し、「EVソリューション」にすると表現されている。

ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマンCEO
ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマンCEO

アウディは1998年、ランボルギーニを、当時のスハルト大統領の末っ子であるフトモ・マンドラ・プトラが共同経営するインドネシア企業、メガテック社から1億1000万ドルで買収した。

これまでの報道では、フォルクスワーゲン・グループがランボルギーニの売却に興味を持っていると言われていたが、今回の進展に関連してAUTOCARが接触したアウディの広報担当者は「ランボルギーニは売り物ではありません(Lamborghini is not for sale)」と答えた。

以前、アヴェンタドールをはじめとするランボルギーニの後継モデルの開発費用が予算を超えているとAUTOCARに語っていたディースは、イタリアに拠点を置くグループ傘下のドゥカティとイタルデザインとの「法的構造」に組み込む可能性を示唆したことがある。

しかし、ランボルギーニの売却案は、2020年12月に開催されたグループの監査役会において、同ブランドの日常業務はベントレーとともにアウディの管理下に置かれることになったため、公式に否定された。

その少し前、グループはブガッティの社長であるステファン・ヴィンケルマンをランボルギーニのCEOに任命した。ヴィンケルマンは2005年から2016年まで同職を務めており、その後アウディ・スポーツの責任者を経てブガッティの社長に就任した。現在はランボルギーニとブガッティのトップを兼任している。

ランボルギーニは2020年に7430台を販売した。過去最高の年間販売台数を記録した2019年(8205台)からは減少したものの、パンデミックの影響でサンターガタ工場が70日間の操業停止に見舞われた中、16億1000万ユーロ(約2145億円)の売上高を記録し、過去最高の年間収益を達成した。

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