【広く有能な7シーターSUV】サンヨン・レクストンへ試乗 2.2Lディーゼル 小変更
公開 : 2021.06.27 08:25
知的な8速ATに上質なインテリア
2.2Lのターボディーゼル・エンジンは、低回転域からノイズが目立つものの、とてもトルクフル。最高出力は201psだが、車重は2180kgもあり、反応は凡兆。燃費は11.7km/Lから14.2km/Lくらいの間。サイズを考えれば、お財布には優しい方だろう。
大型SUVだから、落ち着いた高速移動が目的のクルマではない。しかし、少なくとも実務的なピックアップ・トラックのように、音振に耐えながらの運転環境ではないことは確かだ。
新しい8速ATは、レクストンの強みの1つ。変速をキビキビとこなし、走りに合わせて適切なレシオを賢く選んでくれる。低回転域志向のディーゼルエンジンと、相性の良い設定だと感じた。
レクストンのインテリアは質感が高く、特にアルティメットは装備もふんだん。プレミアムブランドの大型SUVに引け目を感じないような、実用性や機能性を有している。
パワーシートはナッパレザー張りで、ベンチレーション機能も付いている。LEDの間接照明もあるし、ダッシュボードの柔らかな仕立ては肌触りもいい。インフォテイメント・システムが、主流モデルより直感的に操作できるのもうれしい。
7シーターの車内は広く、コンパクトカーが中に入りそうなほど。プレミアムな質感を備えたファミリーSUVとして、レクストンの訴求力は充分にあるといえる。
有能で広く質実的なオフローダー
詳しく観察すれば、ブルートゥース機能や助手席の調整スイッチの場所など、トヨタ・ハイランダーなどにはない気になる部分も見えてくる。だが、オーナーとしての体験を完全に濁らせてしまうほどではないだろう。
レクストンを選ぶかどうか、少し悩ましいことは確か。郊外の開けた道も安楽に運転でき、洗練されたライバルより英国価格は手頃。一方で大きなボディは、取り回しが簡単とはいえない。
ラグジュアリーさを狙った仕立ては歓迎できるものの、クルマとして現代的というわけでもない。立ち位置がブレているように感じる。しかし、巨大な車内空間と運転のしやすさに目を向ければ、数少ないオールドスクールなSUVの中での説得力は高い。
異議は承知の上ながら、ランドローバー・ディフェンダーやメルセデス・ベンツGクラスなど、オフローダーの高価格化が進むことを嘆く人たちにとっては、悪くない選択肢だとは思う。有能で広く、質実的なSUVが身近な価格で手に入るのだから。
サンヨン・レクストン・アルティメット(英国仕様)のスペック
英国価格:4万665ポンド(609万円)
全長:4850mm
全幅:1960mm
全高:1825mm
最高速度:183km/h
0-100km/h加速:11.9秒
燃費:11.6km/L
CO2排出量:225g/km
車両重量:2180kg
パワートレイン:直列4気筒2157ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:201ps/3800rpm
最大トルク:44.8kg-m/1600-2600rpm
ギアボックス:8速オートマティック