【クルマとの濃密な対話】ベントレー・フライングスパーV8試乗 伝統とV8の化学反応

公開 : 2021.05.31 07:05  更新 : 2021.10.09 22:58

ハイテクをどう使う? ライバルはSクラス

フライングスパーのライバルを挙げれば片手では足りないが、このクラスのベンチマークは先ごろデビューを果たしたメルセデスSクラスだろう。

このクラスには最新のアクティブな電制がフル装備されることが多いが、今回のフライングスパーV8は48Vのベントレーダイナミックライド(可変スタビ)や後輪操舵のオプションが付いていなかった。

ベントレー・フライングスパーV8
ベントレー・フライングスパーV8    山本佳吾

このためナチュラルなドライブフィールが強調されることになり、両者のフィーリングは対照的なものになっていたのである。

Sクラスはフライバイワイヤのスロットルマナーはもちろんだが、ブレーキにもステアリングにも電子制御が介在している感が強かった。

ハイテクを余すことなく披露して近未来を感じさせるメルセデス。

これに対しベントレーは素性の良いシャシーと電制に折り合いをつけることでアップデートしつつ、ブランドの伝統的なテイストを守っているのである。

メーカー的な見方をすればW12のCO2排出量はV8よりも15%も高い。このためラインナップにV8モデルが不可欠といった側面もありそうだ。

だがオーナー目線で考えてみると、エンジンの違いによってキャラクター分けがすっきりと成立している点がいい。

つまりベントレーのフラッグシップとしてショーファードリブンにも最適なW12モデルに対し、V8モデルはより濃密にクルマとの対話を楽しむオーナードライバー向けになっているということだ。

ベントレー・フライングスパーV8のスペック

価格:2350万円
全長:5325mm
全幅:1990mm
全高:1490mm
最高速度:318km/h
0-100km/h加速:4.1秒
車両重量:2480kg
パワートレイン:V型8気筒3996ccツインターボ
最高出力:550ps/6000rpm
最大トルク:78.3kg-m/2000-4500rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

ベントレー・フライングスパーV8
ベントレー・フライングスパーV8    山本佳吾

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。

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