【背の低い7シーターにHV追加】フォードS-マックス 2.5デュラテック FHEVへ試乗
公開 : 2021.06.10 08:25
実用的な7シーターのMPVとして、フォードを支えるS-マックス。ガソリンエンジン・ベースのフルハイブリッドを英国編集部が評価しました。
少し背の低い7シーターにHV追加
フォードの7シーターMPV、S-マックスが新しくなった。欧州フォードのミニバンとしては、このほかに全高1747mmと背の高いギャラクシーがある。そのため、フォードはS-マックスをスポーツ・アクティビティ・ビークルと呼びたがる。
背の高いSUVやミニバンが主流の7シーターにあって、全高1655mmと少し背の低いS-マックスの存在をうれしく感じる人もいるだろう。特に、家族の多いドライバーなら。
ちなみにフォードによれば、英国で走っている兄弟モデルのギャラクシーは、ほとんどがタクシーだという。
S-マックスのハイブリッドに採用されるパワートレインは、アトキンソンサイクルの4気筒ガソリンエンジンと、AC同期モーターの組み合わせ。システム総合で189psと20.4kg-mを発生する。トランスミッションはCVTで、前輪駆動だ。
馬力は目立った数字とはいえず、車重は1947kgもあるため、0-100km/h加速は9.9秒。かろうじて10秒の壁は切っている。
ちなみに、FHEVは、フル・ハイブリッド・エレクトリック・ビークルの略。今のところプラグイン・ハイブリッド(PHEV)は用意されていない。
最大の魅力は広い車内と走りの質感
ハイブリッドとして、目指しているのは加速性能よりも燃費性能。カタログ値は15.4km/Lとなり、S-マックスのディーゼルエンジン版に匹敵する。CO2の排出量も148g/kmと低く、英国では税率の面でも有利になる。
S-マックの車内は、何よりも従来どおり実用性が重視されている。インフォテインメント・システムのグラフィックは、少し旧式感がある。それでも車内空間は非常に広く、使い勝手はとてもいい。
フォードは、1.1kWhの駆動用リチウムイオン・バッテリーの搭載位置を、排気系のレイアウトを改めることで注意深く設計した。そのおかげで、荷室容量は通常のディーゼルエンジン版と変わらない。リアシートを畳めば、最大2020Lにまで広げられる。
ダッシュボードのスタートボタンを押して、S-マックスを起動。始めは電気モーターの力だけで発進する。だがPHEVではないから、ガソリンエンジンは程なくして目を覚ます。
恐らく、電気モーターだけで走れるのは駐車場の中くらいだろう。エンジンへのバトンタッチは、滑らかだ。
トランスミッションはCVTということで、穏やかに走っている限りは気にならないものの、追い越し加速を始めるとエンジンが過剰に回り出す。CVTに向けられる一般的な批判は、最新版のS-マックスにも当てはまってしまう。