【詳細データテスト】シトロエンC4 狭いスイートスポット 穏やかに走るのがベスト 快適性は要改善
公開 : 2021.06.05 20:25
操舵/安定性 ★★★★★☆☆☆☆☆
C4を走らせてみると、なかなか風変わりで馴染めないクルマだと感じるかもしれない。しかしいっぽうで、性能が高く嫌味のないクルマだと思うドライバーもいるはずだ。すべては、どこを走ったかによって変わる。
市街地では取り回しがしやすく、非常にリラックスして快適に乗れるように、シトロエンはパワーステアリングを調整している。ロックトウロック2.8回転と穏やかなギア比設定で、回転直径10.9mというのは小型車としてはやや大きめだが、操舵力は街乗りでの低速時には非常に軽く感じられる。
切り返しの際にはほとんど力を加える必要がなく、車間を縫って走ったり、旋回しながらのレーンチェンジでも反力が小さいので、めったにないほどフワフワしたクルマに感じられる。
慣れるには、かなり走り込まなければならない。というのも、50km/hくらいから上で、それまでなかったステアリングの重い手応えが急に現れるからだ。
70〜90km/h程度で、山間の道をそれほど飛ばさずに走ると、車体の位置決めがずっと楽になる。B級道路では、このスピードでもややロールやゆったりしたボディの挙動が出るものの、予測の範囲内にすぎず、ボディコントロールは乱れない。
ペースを上げると、波長の長いボディの動きが重なって、落ち着きがなくなってくる。このクラスの運動性に秀でたクルマにみられるような、走りの万能さを備えていないのは明らかだ。
スピードを慎重に選べば、少なくとも市街地以外では、十分に心地よく走れる。ハイペースで走るのに向いているようなレスポンスはないし、比較的細いタイヤは強烈な横グリップを生むこともない。
しかし、電子制御スタビリティコントロールがきわめてそっと、それでいて効果的に機能し、アンダーステアが出たときは対応する。そのため、ほとんどの状況でC4は安定性を損なわない。
それでも、これは馴染やすくうまく付き合えるクルマではない。ましてや、ちょっとでもやる気を出して走りを楽しめるようなものではない。