アルピナD5 Sとも距離感

高速道路に入って感じたのは、以前のB5ビターボよりも過給の掛かりはじめにグンッ車速が伸びる点だった。

5500-6500rpmの間で発揮される13ps増しの最高出力は感知できなかったが、4000rpmあたりの中間トルクの分厚さと、件の軽快感が一体になって新型B5のテイストを作り上げている。

アルピナは長らく創業社長のブルカルト・ボーフェンジーペンが一貫して最終セッティングの監修をおこなっていたが、現行の3シリーズからは息子のアンドレアスがその役割を担当している。

彼の処女作でもある現行B3が、従来のアルピナらしからぬ刺激を秘めていたことを考えれば、今回のB5のテイストにも納得がいく。

3と7の中間という5シリーズのツアラー的なキャラクターを守りつつ、しかしディーゼルのD5 Sとは少し距離を置く。

アルピナにディーゼルモデルやSUVの導入を促し、ブランドの幅を広げることに尽力してきたアンドレアスらしいラインナップの構成法といえるだろう。

新型B5の最も近しいライバルは、BMW MによるM5とM550i xドライブだろう。

けれどM5は走りも見た目もこれまでどおりヤンチャで、一方のM550iはラグジュアリー過ぎてクルマ好きにとっては印象が薄かった。

クルマ選びに一家言ある人が実際に手に入れてみたら長い付き合いになるのは恐らくアルピナだろう。

走り込むほどに新たな発見がありそうな、そんな予感に満ち溢れているからだ。

アルピナB5リムジン・アルラットのスペック

価格：1939万円（右ハンドル）
全長：4980mm
全幅：1870mm
全高：1480mm
最高速度：330km/h
0-100km/h加速：3.4秒
車両重量：2030kg
パワートレイン：V型8気筒4394ccツインターボ
最高出力：621ps/5500-6500rpm
最大トルク：81.6kg-m/2000-5000rpm
ギアボックス：8速オートマティック

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